株式会社ウテナ様 OPEN21導入事例
創業100周年を迎えるウテナ様。人間本来の「自然な美しさ」をテーマに化粧品等の商品開発に加え、ペーパーレスといったサステナビリティ活動も推進。経理部門にてその活動を支えるOPEN21をどう検討・選定したかを常務執行役員の栗原様にお伺いしました。
月次決算を早期化→アメーバ経営を推進!
テレワーク推進により働き方改革を実現!
- 株式会社ウテナ
- 常務執行役員 兼 経営統括部 部長 兼 経営企画部 部長
- 栗原 健治 様
- ユーザー様ご紹介
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会社名 |
株式会社ウテナ |
所在地 |
東京都世田谷区南烏山1-10-22 |
創 立 |
1927(昭和2)年4月 |
従業員数 |
140名 |
事業内容 |
化粧品・医薬部外品製造販売・不動産賃貸業 |
拠点数 |
研究所・営業所等5拠点
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関連会社 |
上海・香港2社 |
URL |
https://www.utena.co.jp/ |
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- 検討の目的(2019年時点)
- 月次決算早期化によるアメーバ経営管理の推進
- 経理業務のペーパーレス化(特に経費精算)
- ハード・業務面からのテレワークの推進
- OPEN21の選定ポイント
- 会計とワークフロー(WF)が一体型システム
- 要望に一体型提案:WFに振伝有/債権債務/固定資産
- 汎用性・拡張性に優れ、設定変更も容易
- 導入後の効果
- 月次決算:2営業日短縮、残業時間30h→ゼロへ
- ペーパーレス:保有スペース・保有量 約40%削減
- テレワーク:出社週1日、テレワーク先駆者百選に
全社方針でアメーバ経営推進、ペーパーレス、テレワークへの対応が必須!
―検討時の背景と目的、会計システムの選定のポイントを教えて下さい。
常務執行役員
栗原 健治様
検討当時の2019年、年初方針で「アメーバ経営管理の推進(予実管理の早期化)」「ペーパーレス及び働き方改革(特にテレワーク)の推進 」「オリンピック東京2020大会への対応(業務継続のためのテレワーク)」が示されました。旧会計システムは保守期限をむかえており、更新が必要な状況でもありました。
その方針を踏まえ、システム更新目的を次の3点としました。
目的1.アメーバ経営管理推進のため、経理業務の効率化・時短による月次決算の早期化
目的2.ペーパーレスのため、特に請求書・領収書(以下証跡)の経費精算のデジタル化
目的3.テレワーク推進のため、ハード面・業務面の変革
「紙の申請書及び証跡をペーパーレス化し、月次決算早期化及びテレワーク推進を実現」「アメーバ経営品質向上へ注力」を目的としました。
旧会計システムは約10年間利用していたため、様々な課題が発生していましたので、その課題の解消と、目的達成に向け、どの会計システムが最適かというポイントで選定を行いました。
選定ポイントとして、紙の証跡が残る理由の一つは税務申告のため、電子帳簿保存法(以下、電帳法)のスキャナ保存及び帳簿保存に対応した会計及びワークフローシステム(以下、WF)を導入することを大前提としました。紙の業務フローをデジタルに変え、月次決算の早期化を実現しながらも、テレワ―クのために証跡データを確認できるようにしなければならないことを考慮すると、伝票及び申請書+証跡ファイル、帳簿を一元管理できる会計とWF一体型システムが最適と考えました。その他、テレワークやアメーバ経営管理推進が可能、経営環境変化に対応可能な拡張性を有していることとユーザーが容易に設定を変更できることを選定ポイントとしました。
ペーパーレス、電帳法、テレワークを効果的に実現できるシステムと評価!
―OPEN21導入を決定された理由を教えて下さい。
常務執行役員
栗原 健治様
以上の選定ポイントから2019年1~3月に4社(OPEN21以外)を検討、4社とも会計+WF提案で証跡のペーパーレス化、電帳法対応という内容でした。
しかし、会計とWFが別システムでの提案のため、スキャナ保存はWF、帳簿保存は会計での管理となり、旧システムでの課題である会計とWFを別システムにて運用する弊害も解消されないと考えていました。
また、債権債務、固定資産が必要でしたが、固定資産が別システム提案のベンダーさんもあり、仕訳連携を含めるとかなり高額な提案となり、4社とも決定に至りませんでした。
そこで2019年4月、さらにICS社「OPEN21」の紹介・デモンストレーションを受けたのですが、第一印象で”これだ”と思いました。
その理由は、次の3点です。
理由1.会計とWFが一体型のシステムで、スキャナ保存・帳簿保存が一元管理でき、主目的が達成されること
理由2.当社は申請者が全取引を起票する業務フローであるが、WFに振替伝票機能を有していることにより、
全取引が同一フローで対応できるようになり、
債権債務・固定資産も一体型システムでデータ連携が安心等、当社の要望を網羅するシステムであること
理由3.科目や部門の他に当社独自項目(製品コード/チェーン店名/販促単価等)の管理が可能で、
拡張項目が30項目以上と拡張性も担保されており、ユーザーが容易に設定変更できるシステムであること
その後、2019年5~8月に「OPEN21」の詳細確認を行い2019年8月に採用決定しました。
―どのようなOPEN21の構成をご選択されましたか?
導入システムは、電帳法対応(導入時の令和元年基準)の「基本会計」「WF」「債権債務」「固定資産」です。「基本会計」は経理部門4名、「WF」は全社員140名で利用しています。
全体的なデータフローは、売上/仕入/原価を管理する基幹システムから仕訳データ(月1回)/請求データ(随時)を連携しています。「WF」は経費精算後のデータを随時、「固定資産」は増減処理後のデータを月次で「基本会計」へ仕訳連携しています。「債権管理」で基幹システムから連携したデータから請求書発行を行い、入金消込後に消込仕訳連携、「債務管理」で「基本会計」に計上された債務仕訳から支払処理後に支払仕訳連携をしています。さらに、アメーバ経営管理システムにPL仕訳明細を随時連携しています。(OPEN21導入イメージ:参照)
「OPEN21」は当社が求めた広範囲の業務を一体型システムでカバーしています。全体最適による業務の自動化・効率化を実現、稼働1年後の現在、非常に安定したシステム運用を行っています。
経理のペーパーレスにより、月次2営業日短縮・週1日のテレワーク実現!
―経理業務のペーパーレス・電帳法対応はどう対応しましたか?
常務執行役員
栗原 健治様
旧システムは会計とWFが別システムで、紙とデータで申請・承認・経理処理を行っていました。申請者はWFにデータ入力後、申請伝票を印刷、証跡と合わせて紙の承認依頼を行います。その後、承認者は紙とデータを承認するという業務フローです。
このフローの第一の課題は、収集・承認・確定に時間がかかる事でした。月末締め後、各拠点の上長承認が終わった紙の承認依頼が、郵送により本社に届くのは第3~4営業日頃でした。そこから経理担当者が最終承認、内容に不備があるとWFデータを差し戻し、再申請の承認後、申請伝票を経理で印刷します。その後の仕訳連携では、会計とWFが別システムのため、それぞれのシステムで連携操作が必要で、税区分や外字の扱いが異なるので申請内容によっては連携エラーが発生。結果、月次確定は第6営業日となっていました。
第二の課題は、非効率な業務の存在です。申請者による台紙への証跡糊付け、承認者は紙とデータを承認、特に経理担当者は全国から承認依頼が集まってくるので、紙とデータの承認件数の差異の有無確認に膨大な工数を要していました。さらに、紙の申請書等への押印作業、全国からバラバラに届く紙の書類を申請番号順に並び替えてファイリング、とテレワーク推進に向けても大きな障害となる課題でした。
「OPEN21」導入後は、データのみの処理を実現できました。申請者はWFへのデータ入力時、証跡ファイルを添付し承認依頼、承認者はデータのみで承認するという業務フローです。
このフローにより、社員は郵送タイミングを意識せずに都度申請が可能となり、経理担当者も月次締めに関係なく都度、最終承認までの工程を進めることができるようになりました。業務の平準化が実現し、第4営業日には月次確定ができるようになりました。会計とWFが一体型システムのため一度の操作で仕訳連携が可能となったこと、同じ税区分・外字扱いのため連携エラーが無くなったことも早期化を後押しした要因です。
業務の効率化の面では、糊付け不要、データ承認のみ、押印作業不要、申請書と証跡セットのファイリングが不要になり、工数を大きく減らすことができました。
次に電帳法ですが、この業務フローの過程で対応することが可能になりました。WFの申請時、添付された証跡ファイルにタイムスタンプを付与しますが、最終承認後には仕訳データと申請伝票及び証跡ファイルがLINKされ、会計システムに保存されます。これにより、スキャナ保存と帳簿保存の一元管理が実現できました。電帳法の申請範囲については、新規に「証跡のスキャナ保存・申請伝票のデータ保存」を申請し、旧システムで対応済みであった「帳簿のデータ保存」を再申請しました。
2020年3月より運用を開始し、2021年3月時点の前年比、文書保管スペース・保有量ともに約40%削減できました。
―テレワークの推進にOPEN21をどう活用されましたか?
当社では、時間と場所に捉われない多様な働き方実現を目的に、2018年から試験的な運用を開始し、2020年3月より全社適用しました。
ハード・システム環境面では、従業員にPC及びiPhoneを支給し、自宅から会社まではVPNで接続する方式で運用しています。「OPEN21 WF」はWebシステムのためiPhoneからの申請・承認ができ、テレワーク推進に大いに役立っています。
業務面では、経理業務のペーパーレス化により出社の必要性を最大限減らせた事がテレワーク推進に貢献できたと考えています。経費精算で証跡ファイル添付し、申請・承認・経理処理する事により、承認依頼の収集から処理まで自宅で完結し、押印のための出社や紙書類のファイリングも不要です。残高・元帳・伝票・申請書・証跡データがドリルダウン及び検索での問い合わせにより自宅で対応可能、と様々な面で「OPEN21」を活用しています。結果、2021年9月現在、経理担当者の出社は週1日、社員からは通勤時間の削減・場所に捉われないミーティングの実施と高評です。また、この取り組みが評価され2020年10月30日に総務省の「テレワーク先駆者百選」に選出されました。
―アメーバ経営管理の推進にOPEN21をどう活用されましたか?
アメーバ経営管理のシステムに実績データ(PLの仕訳明細)を連携していますが、その連携タイミングを早期化できた事が最大の効果です。アメーバ経営管理では、組織を小集団に分けて、毎月・毎日その採算管理(全社・部署・チーム別に予算・予定・実績の損益・採算管理)する事が必要で、予算と実績のPDCAサイクルを速く回すことが管理品質向上のキーとなるためです。
「OPEN21」による経費精算のペーパーレス化等により、月次決算の確定は第6営業日から第4営業日に短縮しましたが、さらに経理担当者は5人から4人でも対応可能となり、かつそれまでの月次決算時期の経理部門の残業時間30時間がゼロとなりました。アメーバ経営における時間や工数の最小化に向けた活動にも大きく貢献することができました。
他にも、「OPEN21」の様々な機能は、アメーバ経営管理に活かされています。選定理由でも触れましたが、科目や部門の他に30項目以上の拡張項目があり、当社でも製品コード/チェーン店名/販促単価等で利用しています。そのうち、製品コードをアメーバ経営管理システムと連携し、データ分析に活用しています。ちなみに、拡張項目はWFの入力・仕訳連携項目として使えるため、各社員が入力することができます。多数の項目が未使用なので、将来、追加の分析項目が必要となったとしても拡張性が担保され、設定変更もユーザー側で対応可能なので安心しています。
次に、アメーバ経営管理では一つの取引について、複数部署が費用負担する場面もでてきますが、その際は、承認部門(承認者)を複数設定することが必要です。「OPEN21 WF」では、申請の都度、承認ルートの設定が容易にでき、これは大変重宝しています。さらに、予実差異が出た場合、その原因把握が必要ですが、他部門から付替えされた取引もWFの検索機能で、担当者自ら申請伝票はもちろん、添付された証跡にも直ぐにたどり着け、PDCAサイクルの早期化に貢献していると考えています。
―OPEN21の導入効果と導入時の苦労点を教えて下さい。
「OPEN21」の導入効果をまとめると、
月次決算の早期化では、2営業日短縮、経理担当者が5人から4人、残業30時間がゼロとなり、アメーバ経営管理のPDCAサイクルの早期化を実現できました。
経理業務のペーパーレス化では、会計とWF一体型システムによる電帳法対応(スキャナ保存と帳簿保存の一元管理)により、文書保有スペース・保有量の約40%を削減できました。
テレワークの推進では、経理担当者の週1日出社を継続、通勤時間の削減、場所に捉われないミーティングが可能と高評、2020年10月に総務省の「テレワーク先駆者百選」選定に寄与できました。(OPEN21導入効果:参照)
次に導入時の苦労点です。「OPEN21」と「電帳法」という二つを同時に運用開始するということは、我々にとっては非常に高い目標でした。約10年ぶりのシステム刷新であり、かつ電帳法のスキャナ保存対応は当社にとって初めての取り組みだったため、運用の決定・適正事務処理要件の整備や申請書類の準備等は特に苦労しました。ICS社の担当者さんには、高い目標にも「やりましょう」とご賛同頂いたことが大変心強く、絶え間なくご協力を頂き、無事に運用を開始する事ができました。
また、今回は新システムにて広範囲を網羅することになるため、こちらも運用ルールの決定や既存の業務フローの変革にあたっては、大変苦労しましたが、ICS社の担当者さんに何度もシミュレーションのご協力や課題管理による対応を頂き、大きなトラブル無く運用を開始する事ができました。大変感謝しております。
令和3年度改正の電帳法等、環境変化に対応していきたいと考えています。
―多大なご評価、誠にありがとうございます。今後の取り組みを教えて下さい。
常務執行役員
栗原 健治様
先ずは、令和3年度税制改正の電子帳簿保存法への対応です。大幅な緩和がされますので、経理業務のペーパーレス化の効率的な運用をさらに推進していきたいです。
次に、インボイス制度への対応です。開始は2023年10月からと将来のテーマとなりますが、取引先が多いので制度の確認、影響範囲の調査、対応方法の検討を開始しています。
最後に社内のテーマとなりますが、今後刷新を予定している基幹システムと「OPEN21」とのスムーズなデータ連携や分析項目の追加等を実現したいと考えています。
今後、ICSさんにご協力を頂きながら制度改正や経営環境変化に対応するため、「OPEN21」をさらに活用していきたいと考えています。
栗原様、ご協力ありがとうございました。