• 2023. 07. 04
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電子取引は紙保存が廃止に!
事業者のための改正電子帳簿保存法

電子取引は紙保存が廃止に!事業者のための改正電子帳簿保存法

2022(令和4)年1月1日施行の改正電子帳簿保存法において、従来は認められていた電子取引の紙保存が廃止されました。2023年12月31日までは宥恕(ゆうじょ)措置が設けられていますが、紙保存で対応していた企業は電子取引の保存要件への対応が必要です。

本記事では、電子取引におけるデータ保存の義務化および紙保存が廃止になった背景、今後の対応方法などについてまとめています。電子取引データの保存の義務化について詳細が知りたい方はぜひ参考にしてください。

目次

電子帳簿保存法の改正変更ポイント(2022年4月1日施行)

2022(令和4)年1月1日施行の改正電子帳簿保存法では、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の各区分にて改正がありました。

そのなかで「電子取引データ保存」については、電子取引データを印刷して保存(紙保存)を認める文書が削除されました。よって紙保存で対応していた事業者は、電子取引のデータ保存について対応が必要です。

電子帳簿保存法における2022年1月1日施行の改正について
詳しくは、「電子帳簿保存法をわかりやすく解説!基礎知識と対応のポイント」をご覧ください。

電子取引データの紙保存が廃止になった理由

電子帳簿保存法において、電子取引データの紙保存が廃止になった理由や効果として、以下のようなものがあります。

電子化による効率化

電子帳簿保存法による取引書類のデータ化は、デジタル化が進む現代社会の需要に沿うものであると同時に、税務手続の電子化を促進する意図ももちます。社会の動きに合わせて国税関係の帳簿書類も電子化を進めることで、経理業務の効率化が図られるでしょう。

情報漏えい等のリスク軽減

紙の書類は、紛失や盗難による情報漏えいリスク、風水害による紛失リスクがあります。電子データの場合は、セキュリティ対策を施すことにより、情報漏えいリスクを軽減できます。また、データベースによるバックアップは情報紛失リスクも抑えることが可能です。

情報の整合性や信頼性の確保

電子帳簿保存法では、データの保存形式や保存期間、保存場所などが定められており、これに従って保存することで情報の整合性や信頼性を確保できます。一方、紙の場合は、保存場所や保存期間が明確でない場合があり、情報の整合性や信頼性が確保しづらいという問題があります。

環境負荷の軽減

紙は、原料となる木材資源を消費し、また製造から廃棄までのプロセスにおいて二酸化炭素を排出するため、環境に負荷をかけることが指摘されています。一方、電子データは、紙に比べて環境負荷が低いとされています。

電子帳簿保存法に対応するための注意点

対応が難しいFAXについて解説するとともに、Excelで電子帳簿保存法への対応が可能かどうかについて見ていきます。

紙出力のFAXにはどう対応すべきか

ペーパレスFAXは電子取引に該当しますが、紙のFAXは電子取引に該当しません。つまり、紙で提出・受領した書類については、電子帳簿保存法への対応は義務ではありません。ただし、保存要件を満たせば、スキャナ保存することは可能です。

紙のFAXで提出・受領した書類については、以下のような対応が求められます。

紙のFAXで提出された書類を電子データ化する場合

紙のFAXで提出された書類は、スキャナなどでデータ化し、電子データとして保存できます。スキャンした画像にOCR(光学式文字認識)技術を適用することで、テキストデータとして利用でき、その後の検索や転記に役立ちます。

また、電子データは会計システムやデータベース等に統合し、適切に保存と管理を行う必要があります。電子データのバックアップやセキュリティ対策も適切に行うことが重要です。

FAXを紙のまま保管する場合

FAXで提出された書類について、電子化が困難な場合は、紙の書類として保存することになります。提出日時や受領日時、提出先や受領者などの履歴を明確にしましょう。紙の劣化やファイルの分類ミスなどに注意し、適切に管理することが重要です。これにより、必要に応じて提出・受領の状況を確認できます。

検索要件を満たすためにExcelを利用することは可能

事業者によっては、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入せずに、Excelで対応している場合もあります。電子帳簿保存法において定められた検索要件を満たすことで、継続してExcelで対応することは可能です。

その場合は、ファイル名に連番を入れて紐づけたうえで、Excelで索引簿を作ります。その際は、以下の点に留意します。

  • Excelの索引簿に連番・日付・金額・取引先・備考(領収書・請求書・注文書等)などの情報を入力する
  • 個別のファイル名に通し番号・取引先・検索簿の備考欄の取引情報などを入力して、検索簿と紐づける

Excelのフィルタ機能などを使用しながら索引簿を確認すれば、必要なファイルを速やかに検索できます。取引書類が少なければExcelでも十分に対応できることでしょう。

しかし、手作業による入力ミスや操作ミスが発生する可能性があるため、Excelでの作業や管理には注意が必要です。特に書類の分量が多くなる場合は、人的ミスのリスクが高まります。データの正確性や信頼性を確保するためには、複数の担当者による入力チェックやデータのバックアップなどを実施する必要があるでしょう。

Excelを利用することで検索要件を満たすことは可能ですが、一定規模以上の企業や個人事業主においては、大量のデータを扱うことになるので、人の手で検索簿を作成するのは負担が大きいかもしれません。そのような場合においては、専用のデータベースソフトウェアや、電子帳簿保存に特化したソフトウェアを利用することをおすすめします。

電子帳簿保存法違反となった場合の罰則

電子帳簿保存法に違反した場合、罰則があります。具体的には、以下のような罰則があります。

税務署からの是正勧告

適正な帳簿管理を義務付けられている企業や個人事業主が、電子帳簿保存法に違反していると判断された場合、税務署から是正勧告を受けることがあります。是正勧告には、指導やアドバイスなどが含まれます。

過料

電子帳簿保存法に違反した場合、100万円以下の過料が科せられることがあります。

追徴課税や推計課税

電子帳簿保存法に違反している場合、税務署は追徴課税や推計課税を行うことがあります。税務署から本来の納税額や、税務署が推計した納税額との差額を支払うように命じられることです。

以上のように、電子帳簿保存法に違反した場合、さまざまな罰則が科せられる可能性があります。違反を防ぐためには、法律に基づいた適切な帳簿管理を行うことが大切です。

電子取引データの保存への対策方法

電子取引データの保存への対策としては、市販の会計ソフト、自社サーバやクラウドベースの会計システムを利用するのが一般的です。どの方法を選ぶにせよ、法令にリアルタイムに対応できるシステムを導入することが重要です。それによって、複雑かつ改正の多い電子帳簿保存法への対応がスムーズになることが期待できます。

システムを導入する際には、システムを選定するだけでなく導入準備やシステム設定、操作方法の学習などが必要です。また、システムの適切な利用やデータの管理についても、適切な知識や経験が必要です。そのため選定の際は、導入サポートが充実しているベンダーを選択することも重要です。

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2022年1月1日施行の改正電子帳簿保存法により、電子取引データの紙保存が廃止されました。企業と個人事業主には、規定に基づき、電子取引データを保存することが義務付けられました。2023年12月31日までの宥恕措置があるとはいえ、適切な知識や経験が必要となるので早めのシステム導入をおすすめします。

最新の電子帳簿保存法にタイムリーに対応できていないことに課題を感じている企業担当者の方は、ぜひICSパートナーズへご相談ください。