• 2023. 06. 27
  • 電子帳簿保存法

JIIMA認証とは?電子帳簿保存法対応システムにより
税務処理のリスクを軽減

JIIMA認証とは?

電子帳簿保存法(電帳法)は、1998年に施行された法律ですが、時代の流れに応じて複数回の改正が行われてきました。多くの箇所で要件が緩和された半面、不正に対する罰則が厳しくなっています。悪意はなくとも、保存要件を満たさないことで結果的に法令違反となってしまう可能性があることに注意しなければなりません。税務処理におけるリスク回避のためには、JIIMA(ジーマ)の認証を受けている会計システムを導入することが有効な対策と言えるでしょう。

目次

JIIMA認証とは

JIIMA認証とは、電子帳簿保存法の要件を満たしているソフトウェアを公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会が認証する制度です。この法人の英語表記がJapan Image and Information Management Associationであり、その略称がJIIMAです。認証を受けた製品は認証ロゴを使用できます。

JIIMA認証の5つの種類

JIIMA認証制度では、電子帳簿保存法の施行規則や通達などの要件を実現できる機能を備えた製品や、サービスを認証します。この認証制度は、製品のマニュアルのみで評価し認証するものです。 JIIMA認証には、電子帳簿保存法の区分を考慮して、下記の5つの認証が設けられています。この認証を受けた製品であれば、電子帳簿保存法の個々の要件をチェックする必要がなく、安心して導入できます。

1.電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証

スキャナ保存についての認証です。スキャナ保存を行う市販のソフトウェアが、電子帳簿保存法が求める要件を満たしていることを認証するものです。

2.電子帳簿ソフト法的要件認証

国税関係帳簿の作成・保存に関する認証です。会計ソフトや電子帳簿システムなどの市販ソフトウェアが、電子帳簿保存法が求める要件を満たしていることを認証するものです。

3.電子取引ソフト法的要件認証

コンピューターで作成し電子的にやりとりする国税関係書類に関する認証です。市販ソフトウェアおよびソフトウェアサービスによる電子取引データの保存方法が、電子帳簿保存法で求める要件を満たしていることを認証するものです。

4.電子書類ソフト法的要件認証

コンピューターで作成し、紙で発行する場合の控え等の国税関係書類に関する認証です。市販ソフトウェアやソフトウェアサービスにより作成したデータの保存方法が、電子帳簿保存法が求める要件を満たしていることを認証するものです。認証を受けた電子書類システムであれば、決算関係書類や取引関係書類の発行をしたり、控えを保存したりするうえで安心して利用できます。

電子書類ソフト法的要件認証には、認証パターンが以下のように3つあります。

・認証パターン1:決算関係書類の作成・保存

・認証パターン2:取引関係書類の作成・保存

・認証パターン3:取引関係書類の保存

5.アーカイブ用光ディスク認証

アーカイブ用光ディスク製品についての認証制度です。JIIMAによるJIS準拠の認証制度として運用されており、光ディスクによる長期保存を検討しているときに、製品選定をする際の参考になる認証です。特に電子データを30年以上保存するアーカイブ用途では、信頼性の高い光ディスクとドライブの組み合わせが必要であり、検証を行ったうえでそれぞれを認証しています。

一部引用:JIIMA認証制度 | JIIMA 公式サイト

JIIMA認証を受けたシステムを利用するメリット

電子帳簿保存法に対応する効果や、JIIMA認証を取得したシステムを利用するメリットについて解説します。

電子帳簿保存法に対応する効果

電子帳簿保存法に対応することで得られる効果やメリットは次のとおりです。

業務効率化

データ化した帳票類は検索性に優れているため会計情報収集が早期化できることに加え、振替伝票・帳簿・決算書類等の印刷が不要となります。また、ファイリングや紙の保管・廃棄・管理といった作業の削減にもつながり、業務効率化に大きな効果があるでしょう。必要な情報がすぐに引き出せる点は、税務調査時の対応迅速化にも有効です。

情報共有のしやすさ

帳票類のデータ化により、経営に関する情報の共有化が実現します。電子データによる検索が可能になったことで、情報検索の早期化を図ることができ、スマートフォンやタブレットから所定のフォーマットにより経費申請できることで、紙ベースで申請するときのような手間を軽減できます。イレギュラーに発生していた問い合わせや書式不備による差し戻しの回数の低減も期待でき、想定外の残業を減らせるでしょう。

コスト削減

コピー用紙およびプリンター購入・維持コストを削減できます。また、紙書類の運搬や保管スペースの確保、廃棄などにかかる費用も削減できます。これまで紙の請求書や領収書を郵送していた場合は、郵送コストも削減可能です。

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対応

事業の継続に重要な情報資産の電子データ化およびバックアップは、災害に対するBCP対策として大いに役立ちます。また、BCPの観点以外にも環境問題への取り組みという点から、企業イメージの向上にも効果が期待できるかもしれません。

電子帳簿保存法に対応する必要性と注意点

電子帳簿保存法ができるまでは、国税帳簿・書類をPDF等で作成したとしても、紙に出力して保存しなければなりませんでした。しかし1998年の電子帳簿保存法の施行により、電子データのまま保存・管理することが認められるようになりました。さらに、2005年の改正で外部から受領等した紙の国税関係書類についてスキャナ保存が認められ、その後、2015年、2016年とスキャナ保存の要件が緩和されています。

また、2018年の税制改正で、2020年4月1日以後に開始する事業年度の申告については、電子申告(e-Tax)することが義務化されました。大法人の法人税等が対象ですが、電子化が進むなかでは中小法人についても電子申告の導入が促進されると考えられます。

2021年度の税制改正では電子帳簿保存法の大幅な要件緩和が行われた一方で、データ改ざんが行われた場合には、重加算税が課されることになりました。企業は、電子帳簿保存法への対応を確実に行わなければなりません。

JIIMA認証を受けたシステムなら対応がスムーズ

JIIMA認証を取得したシステムでは、電子帳簿保存法で求められる要件を満たしているかを個々にチェックする必要はありません。また、電子帳簿保存法を深く把握していなくても、法令に準拠して税務処理を行えるため、法令違反リスクの回避に有効です。

電子帳簿保存法では、要件に従って電子データを保存することが義務付けられていますし、スキャナ保存や電子取引において、タイムスタンプ付与や事実確認できるシステムの利用が、真実性の確保においても重要であることは明らかです。また、今後は電子取引が主流になると考えられますので、JIIMA認証を取得したシステムを利用するメリットは大きいでしょう。

電子取引が普及したことで帳簿類の保存・管理が簡易になった半面、改ざんしやすいという課題があり、不正に対する罰則が厳しくなりました。特に電子取引データについては、2024年1月1日以降は、(2022年施行の改正電帳法に基づいた)電子保存が必須ですので、速やかにかつ着実に対応を進めるべきでしょう。

JIIMA認証を受けたシステムの選び方

JIIMA認証を受けたシステムにおいても、対応範囲や機能などはさまざまです。自社に合ったシステムを導入することが重要ですが、選ぶ際の基本事項は以下のような事柄です。

電子帳簿保存法にタイムリーに対応しているか

電子帳簿保存法はこれまで改正を繰り返しており、今後も改正される可能性があります。そういった際に、タイムリーな対応を期待できるソフトウェアを選ぶことが望まれます。

JIIMA認証には5種類あるので、それぞれを個別に確認する

前述したとおり、JIIMA認証には5種類あります。「電帳法スキャナ保存ソフト」「電子帳簿ソフト」「電子取引ソフト」「電子書類ソフト」「アーカイブ用光ディスク」など、製品の種類ごとに対応する認証を受けることになります。

ソフトウェアとしての性能や実際の機能を確認する

JIIMA認証は、市販ソフトウェアやソフトウェアサービスが電子帳簿保存法の要件を満たしていることを、マニュアルや取扱説明書などでチェックしたものです。よって、ソフトウェアの性能や品質については、あらためて調査する必要があるでしょう。

自社との相性を検証する

大企業と中小企業では適したシステムに違いがあります。ユーザー数の違いだけでなく、大企業であればグループ間で統一する必要があったり、海外対応が求められたりするので、自社の規模や業態との相性を検証することも重要です。

システムの選定においては、会計とソフトウェアに関する知見を必要とします。加えて、電子帳簿保存法のどの項目に対応させる必要があるのか理解し、必要項目を備えているか見極めることが、システムを選ぶ際のポイントです。

改正の多い電子帳簿保存法!
リスク回避の手段としてJIIMA認証製品がおすすめ

JIIMA認証を取得していれば、少なくとも電子帳簿保存法の保存要件を満たす機能を備えていると判断できます。逆に、JIIMA認証を受けていないシステムでは、税務処理におけるリスクが残り、DX推進やペーパーレス化に支障を来すかもしれません。

今後の会計システムは、JIIMA認証を取得していることを前提に、ソフトウェアの性能や機能、自社との相性などを考慮して選択することになりそうです。