- 2025. 07. 08
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データ統合とは?効果や具体的な3つの方法、進め方までを幅広く解説
変化の激しいビジネス環境において、企業が競争力を維持・強化するためには、蓄積されたデータをいかに活用するかが重要な要素となります。その前提となるのが、「データ統合」です。複数のシステムに分散するデータを一元的に管理・活用することで、迅速な意思決定や業務効率化が可能になります。本記事では、データ統合の基本から効果、具体的な方法まで、わかりやすく解説します。
- 目次
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データ統合とは
データ統合とは、複数のデータソースから収集したデータをひとつにまとめ、一元管理できる形にするプロセスです。社内のさまざまなシステムやアプリケーション、外部データなど、形式や構造が異なるデータを結合し、整合性を保って活用できるようにします。
データの一元管理やデータドリブン経営については、下記の記事で詳しく解説しています。
- 一元管理とは?メリット・デメリットを知り経営の効率化に活かそう!
- データドリブン経営とは?メリットや実現のステップを解説
データ統合の全体的なプロセス
データ統合は、単にデータを集めるだけではなく、以下のような作業を含む総合的なプロセスです。
- データ収集 : さまざまなソースからのデータ抽出
- データクレンジング : 不正確なデータや重複の除去
- データ変換 : 異なる形式のデータを標準形式に変換
- データ連携 : 複数のデータセット間の関連付け
- データ配信 : 統合されたデータを必要な場所に提供
これらのプロセスを通じて、企業は散在するデータを価値ある情報資産として活用できるようになります。
データ統合による効果
データ統合を実施することで、企業は以下のような効果を得ることができます。
意思決定の質の向上
多くの企業では、部門ごとにデータが分断されており、それぞれが独自の情報に基づいて判断しているため、全社最適な意思決定が難しいのが現状です。この「サイロ化」を解消するには、部門やシステムに散在するデータを統合することが重要です。データを一元化することで、市場動向や顧客行動、業務全体の流れを把握できるようになり、より正確で一貫性のある経営判断が可能になります。
サイロ化については、「サイロ化とは?発生する原因や問題、解消するための方法をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
データ管理業務の効率化
統合されたデータ環境では、必要な情報を素早く取得・活用できるため、業務効率が大幅に向上します。データの検索・収集・変換にかかる時間と労力が削減され、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。
また、重複するシステムやデータストレージ、管理コストを削減することができます。統合の初期段階や小規模な取り組みでは、Excelでのデータ抽出や手動での更新作業など、一部アナログな工程が残ることもあります。ここに適切な自動化を取り入れることで、さらなる効率化が実現できるでしょう。
新たな洞察の獲得
異なるソースのデータを組み合わせることで、これまで見えなかった相関関係やパターンを発見できます。例えば、顧客データと購買データ、マーケティングデータを統合分析することで、より効果的な顧客セグメンテーションや販売戦略の立案が可能になります。これにより、新たなビジネス機会の発見や既存事業の改善につながる貴重な洞察を得られる可能性があります。
データ統合の3つの方法
企業のデータ統合は通常、ビジネスニーズの拡大やデータ量の増加に伴って段階的に発展していきます。ここでは、主な統合方法を3つ紹介します。
汎用ツールの活用
ExcelのPower QueryやGoogleスプレッドシートなど、既存の業務ツールの機能を使ってデータを統合する方法です。多くの企業で導入済みのツールを活用するため、追加コストを抑えて操作を半自動化できます。
ただし、大規模データや複雑な処理には限界があり、データ量の増加や処理の複雑化に伴い、パフォーマンスの低下や操作の煩雑さが課題となります。
カスタム開発
プログラミング言語を使って独自のデータ統合プロセスを開発する方法です。完全なカスタマイズ性を持ち、特殊な要件にも柔軟に対応できます。企業固有のビジネスロジックを組み込むことも可能です。
一方で、開発・維持コストと専門スキルが必要です。システムの保守・運用には継続的な技術的サポートが欠かせません。
データ連携ツールの活用
EAI(Enterprise Application Integration)やETL(Extract, Transform, Load)などのデータ連携ツールやプラットフォームを使用する方法です。EAIとは、企業内の異なるアプリケーション間でデータを連携するためのツールです。ETLは、データの抽出・変換・読み込みを自動化するツールを指します。
これらのツールでは、視覚的な操作でデータフローを設計・自動化できます。導入コストはかかりますが、少ないトレーニングで非IT部門でも実装しやすく、高い信頼性とスケーラビリティを持ちます。企業の成長に合わせてシステムを拡張できる点も大きなメリットです。
データ連携ツールやEAI・ETLについては、下記の記事で詳しく解説しています。
- データ連携ツールとは?機能や種類、選定時のポイントをわかりやすく解説
- EAIとは? 仕組みや機能からETLとの違い、選定のポイントまでわかりやすく解説
効果的なデータ統合の進め方
効果的なデータ統合の進め方を紹介します。
明確な目標の設定
データ統合プロジェクトを始める前に、目的と達成したいビジネス成果を明確に定義しましょう。「なぜこのデータを統合するのか」「どのような意思決定や業務改善に活用するのか」を具体化することが重要です。
目標を関係者間で共有することで、プロジェクトの方向性が統一されます。また、成果を測定する指標も事前に設定しておくことで、統合後の効果を客観的に評価できます。
データソースの現状把握
統合対象のデータソースについて、データ形式、更新頻度、品質、オーナーシップなどを詳細に調査します。
特に重要なのは、データ品質の事前評価です。欠損値、重複、不整合などの問題を統合前に把握することで、後工程での問題を未然に防げます。また、データの意味や業務的な背景を理解することで、より価値のある統合を実現できます。
適切な統合方法・ツールの選定
前述した3つの統合方法から、データ量、更新頻度、予算、技術リソースなどを総合的に考慮して最適な方法を選択します。ツール選定では、必要な機能だけでなく、使いやすさや将来の拡張性も重視しましょう。また、将来のデータ増加や要件変更にも対応できる柔軟性を考慮することも重要です。
自社に適した統合方法について判断が難しい場合は、知見のあるベンダーに相談することも有効な選択肢です。
段階的なデータ統合
大規模なデータ統合を一度に完璧に実装することは困難です。そのため、小さな成功を積み重ねる段階的な統合計画が効果的です。
最初は小規模なパイロットプロジェクトで検証を行います。初期の実践で得た知見を次のステップに活かすことで、リスクを最小化しながら確実に成果を上げられます。また、データ統合は一度で終わりではありません。ビジネスやデータ環境の変化に合わせて継続的に見直し、改善していくことが欠かせません。
データ統合でデータドリブン経営を実現させる
データ統合は、企業の競争力を高める重要な取り組みです。分散したデータを統一することで、意思決定の質向上、業務効率化、新たな洞察の獲得が実現できます。成功の鍵は、明確な目標設定と段階的な実装です。一度に完璧を目指すのではなく、小さな成功を積み重ねることが重要です。
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