• 2023. 06. 27
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【上場企業・大企業向け】会計ソフトの選び方
押さえておきたい機能や特長

【上場企業・大企業向け】会計ソフトの選び方

「現在使っている会計ソフトのサポートが終了する」「今の会計ソフトでは電子帳簿保存法に対応できない」といった理由から、会計ソフトの見直しを検討している企業も少なくないでしょう。今回は、上場企業や大企業の会計ソフトの選び方を紹介します。押さえておきたい機能や特長から、導入を成功させるコツまで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

上場企業・大企業で会計ソフトの見直しが必要になるタイミング

上場企業・大企業では、どのようなタイミングで会計ソフトの見直しが必要になるのでしょうか? よく挙げられるタイミングを紹介します。

ハード保守のサポート終了時

会計ソフト見直しのきっかけとしてよく挙げられるのは、「ハード保守のサポート終了」です。サポート期限を過ぎてもハードそのものは使用できますが、保守や修理といったサービスは受けられなくなります。

最新のハードに移行する場合に注意すべきは、現在使用しているバージョンのOSが稼働できなくなる恐れがある点です。その場合には、もとのOS上にある業務ソフトも、すべて変更しなければなりません。一般的なハード保守のサポート期間である5~7年のサイクルに合わせて、見直しを迫られることになります。

システム保守のサポート終了時

OSや会計ソフト自体のサポート終了によって、見直しが図られる場合もあります。OSのセキュリティ用パッチが提供されなくなることで情報漏えいの危険が増したり、会計ソフトのサポート切れで最新の法制度に対応できなくなったりする前に、より自社に適した、もしくは最新の会計ソフトに切り替えようとするケースです。

最近では、現行のハード・システム保守のサポートが終了するタイミングで、クラウド(IaaS/PaaS)移行を検討する企業も増えてきました。IaaSやPaaSであればハードウェアの運営・保守をベンダーに任せられるため、保守期限の縛りから離れることが可能です。

制度改正への対応が必要になったとき

会計ソフトは、各種制度改正の影響を受けやすいソフトだといわれています。法や制度の改正頻度が高く、都度、対応を求められるためです。

近年は、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応が注目されています。現行の会計ソフトの対応が法令の求める要件に沿わない場合は、見直しを図るタイミングだと言えるでしょう。

経営方針や会計制度の変更時

現行の会計ソフトが事業の拡大に対応が追いつかなくなったタイミングで、見直しが実施されるケースも少なくありません。

「管理会計を導入して経営戦略に生かしたい」「海外進出を見据えてIFRS(国際財務報告基準)を導入したい」といった自社要因がきっかけとなることが多いようです。

決算を早期化したいとき

経営にスピード感が求められる現代では、決算の結果を早く知りたいと希望する経営者が増えています。自社の経済状態をいち早く把握できるようになれば、迅速に次の一手が打ちやすくなるためです。

決算を早期化したい場合にも、会計ソフトの見直しが有効です。現行のソフトでは情報連携やデータの出力が遅いと感じている場合は、見直してみるとよいでしょう。

コストを見直したいとき

会計ソフトの価格は、付帯する機能や利用者数によって月額料金が大きく異なり、企業規模が大きくなればなるほど、費用も高額になる傾向にあります。

自社に必要な機能を見極め、適切な会計ソフトに切り替えるだけでも、大幅なコストダウンを実現できるかもしれません。

上場企業・大企業の会計ソフト選びで押さえておきたい
6つのポイント

ここでは、上場企業や大企業が会計ソフトを比較する際に押さえておきたいポイントを6つ紹介します。

1.制度改正に対応しているか

近年の税制改正において、企業会計に大きく関係するとして注目されているのが「法人税等の改正」「インボイス制度」「電子帳簿保存法」の3点です。なかでも、請求書に関連する「インボイス制度」や多くの取引書類と関連する「電子帳簿保存法」は自社だけでなく取引先にも影響があるため、万全の対応が欠かせません。

多くの会計ソフトは、制度改正にスムーズに対応すべくツールの改善を重ねています。そのため、求める機能水準を満たしているかにこだわって選ぶべきでしょう。また、ベンダーの実績や信頼性も含めて検討するのがおすすめです。

2.会計業務を効率化できるか

会計ソフトによる業務の自動化によってかなえられるのは、正確かつ迅速な処理だけではありません。会計業務の効率化がかなうことで、経理部全体の生産性向上が見込めます。また、ペーパーレス化による経理業務のDX化が実現できれば、テレワークの推進にもつながります。

企業規模が多いほど経理業務も増えるため、会計ソフトによる業務の効率化については、従業員数が多い企業ほど、その効果を実感しやすいでしょう。

3.使い勝手よくカスタマイズできるか

会計ソフトには、自社の財務会計・税務・管理会計の要件を満たせる汎用(はんよう)性が求められます。豊富な機能を有していても、自社の要件に合致していなければ使い勝手が良いとは言えず、業務効率化も難しいでしょう。

例えば、必要な勘定科目は業種によって異なります。自社に即した勘定科目体系を備えていなければなりません。自社の需要を満たしていることを確認したうえで、レポート作成やデータ連携の自由度などを比較しましょう。

不正防止の観点からは、業務やマスタ、データに対する細かい権限設定も必要です。メンバーごとに権限を設定して会計を分業することで、不正会計や情報漏えいなどを防げます。

4.内部統制に対応しているか

資本金が5億円以上、負債総額が200億円以上である大企業や上場企業には、公認会計士や監査法人による会計監査の実施が義務づけられています。そして、年に1回、会計監査で作成される「内部統制報告書」を金融庁に提出しなければなりません。したがって、上場企業・大企業が導入する会計ソフトには、特に内部統制に関する対応も求められます。

5.現行システムからの乗り換えやデータ連携は可能か

現行の会計ソフトからの乗り換えが可能か、移行はスムーズか、といった点はもちろん、給与システムやワークフローシステム等、ほかのシステムとのデータ連携も確認しておきたいところです。

また、表計算ソフトによる手入力や紙の領収書等をPDF変換ソフトで読み込んでいるような企業もあるかもしれません。会計ソフト以外のこれらのような手段を利用してデータを作成している場合には、他ソフトとの連携性も必要になってきます。

今後、機能を拡張する可能性があるなら、他システムやソフトと親和性が高いものを選んでおくとよいでしょう。

6.クラウド型かオンプレミス型か

会計ソフトには、インターネットを通じて利用する「クラウド型」と、自社サーバーにインストールする「オンプレミス型」があります。

クラウド型はインターネット環境が必要ですが、逆にインターネット環境が整っていればどこでも利用可能です。コスト面では月額料金が発生する一方、導入の手間やコストが低く、常にアップデートされているのが魅力です。オンプレミス型は、初期費用が大きく導入の手間がかかるものの、カスタマイズしやすい点で支持されています。

制度改正ごとにアップデートが必要な会計ソフトにおいては、クラウド型の人気が高まってきています。

上場企業・大企業が会計ソフト導入を成功させるコツ

上場企業・大企業で会計ソフト導入を成功させるためには、上場企業・大企業向けの実績がある会計ソフトを選ぶことが前提です。

さらに以下の3点を意識しておきましょう。

導入目的を明確にし、優先順位をつけておく

会計ソフトは、自社の導入目的に沿っていなければ、効果を実感しにくいものです。だからといって、すべての希望要件を満たそうとすると、価格も上がり、操作も煩雑になってしまいます。

あらかじめ会計ソフトに求める項目を明確にし、優先順位をつけておくと、サービスの比較検討もしやすくなるでしょう。

無料トライアルで操作性や相性を確認する

多くの会計ソフトには、無料トライアルが用意されています。操作性や現場との相性の良しあしは、実際に使ってみないとわからないところです。必ずツールの利用予定者が試せる期間を設け、ヒアリング結果をもとに比較検討することをおすすめします。

グループ全体で活用できる

上場企業・大企業の会計ソフト選びでは、本社で一元管理が可能か、子会社やグループ企業で一括導入・活用ができるかといった点も、大きな判断ポイントです。連結会計・決算といったグループ運営に適した機能を活用することが、会計処理や経営判断の迅速化につながります。

また、海外に拠点がある、もしくは進出予定がある場合には、国外対応の有無や範囲も確認しておきましょう。

自社に最適な会計ソフトで業務効率化を実現しよう

サポート終了や制度改正、事業拡大などをきっかけに、会計ソフトの見直しを行う上場企業・大企業は少なくありません。自社に合ったソフトに出合えれば、会計業務の効率化も可能です。ソフト選びでは、カスタマイズ性や内部統制への対応に至るまで、上場企業・大企業ならではの目線による見極めが求められます。まずは導入目的を明確にし、無料トライアルで操作性や現場との相性を確認しながら検討を進めましょう。