• 2023. 09. 21
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データドリブン経営とは?
メリットや実現のステップを解説

データドリブン経営とは?メリットや実現のステップを解説

潮流の速い現代ビジネスにおいて、近年、多くの企業から注目されているのが、データドリブン(データ利活用)経営です。データに基づいて業務効率化や新ビジネスの創出を目指す、この経営手法への注目度は日々高まっています。

しかし、データドリブン経営とは何かを正確に答えられる自信のある人はまだ少ないのが現状でしょう。そこで本記事では、データドリブン経営の概要から実現方法までを詳しく解説します。

目次

データドリブン経営とは?

データドリブン(Data Driven)とは、「データに基づいて何かを行う」という意味の言葉で、収集したさまざまなデータを分析して意思決定に生かすことを指しています。その手法を企業経営に応用するのが「データドリブン経営」です。データドリブン経営では、データを基にして戦略の立案や施策の実行を進めます。

データドリブン経営の特徴は、経営陣の勘や経験だけに頼らず、客観的なデータを参考にする点です。実績やデータに基づいた精度の高い施策を実行でき、客観的根拠による経営判断は周囲からの理解を得やすいとされています。

DXとの関係性も

データドリブン経営では、ITツールをうまく活用しながら膨大なデータを分析していくのが一般的です。そのためには、これまで紙媒体で保持していた情報のデジタル化や、社内のデータ分析基盤の整備が求められます。つまり、データドリブン経営に向けて社内の環境を整備することは、自社のDX推進に直結するのです。

DXには、デジタル技術の活用やデータ分析の導入によって、業務フローの改善や企業風土の変革を行うという目的があります。その実現には鮮度の高いデータの活用・分析による、客観的かつ的確な意思決定が求められます。経験や既存のビジネスモデルにとらわれない、新たな経営手法への刷新も不可欠です。DXの実現とデータドリブン経営は相互にかかわりあっているといえるでしょう。

なぜデータドリブン経営が注目されるのか?

昨今の目覚ましいデジタル技術の進歩により、多くの場面でデータ活用がしやすくなりました。技術の進化にともない、ビジネスの変化・成長も加速しました。競争が激化するなかで自社が勝ち抜くためには、最新のデータから素早く顧客ニーズや他社動向をつかみ、的確に判断しなければなりません。

また、インターネットやSNSの普及により、顧客ニーズと消費行動が多様化・複雑化したことで、実店舗にとどまらない消費行動や判断があたりまえになっています。オンライン・オフライン両方の膨大かつ多様な情報から必要なデータを適切に取り出し、活用する必要があります。

これらを実現しえる手法として、データドリブン経営に関心が寄せられているのです。

データドリブン経営を行うメリットは?

データドリブン経営を取り入れることによって得られるメリットは、主に以下の4つです。

自社の強みや課題を客観的に把握できる

データドリブン経営の実現のために日々蓄積されるデータを分析する過程では、自社の強みや課題が可視化されます。人間の勘や経験だけでは気づかなかった強みや課題を把握できれば、実情に即したアクションにつなげられるでしょう。また、勘や経験を裏付けるデータが見つかれば、勘や経験といった属人的な要素をロジック化できます。

迅速に意思決定が下せる

データドリブン経営では、蓄積した過去データを参照しつつ、リアルタイムのデータに基づいて素早い意思決定ができるため、迅速かつ的確な判断を下しやすいのが特長です。刻一刻と変化する現代社会で変化に強い体制づくりができるため、自社の競争力強化にもつながります。

収益率の改善が図れる

データドリブン経営によってデータを一元管理するようになると、業務効率が数値として可視化されるため、効率化を進めやすくなります。また、IT技術の活用によって時間や地理などの制約から解放されれば、生産性の向上も望めるでしょう。これらの結果として、収益率の改善や飛躍的な成長が見込めます。

新ビジネスの創出も期待できる

データドリブンは、もともとはマーケティングの分野で広く活用されていた手法です。複数のデータの組み合わせや、保有データの新たな展開によって、今まで見えなかった深部の顧客ニーズを把握できるケースも少なくありません。分析結果を商品開発・改善に反映すれば、既存商品の改良にとどまらず、新たなビジネス展開につながる可能性もあります。

データドリブン経営に必要な3つの要素

データドリブン経営を実現するためには、以下の3つの要素が必要だといわれています。ひとつずつ詳しく確認しましょう。

データ収集・活用を実現する体制を構築

データドリブン経営はデータ活用が前提となる経営手法であるため、当然ながらデータ収集・活用基盤は欠かせない要素です。しかし現実をみると、必要とされるデータは、ERPやCRM、POS、アクセス解析といった複数のシステム内に分散して存在しているケースが多いです。まずはデータを効率的に収集し管理、蓄積するフローやプラットフォームを構築する必要があります。

データ活用基盤には、主にデータの「倉庫」と呼ばれる「データウェアハウス(DWH)」や、データを一元管理できる「データマネジメントプラットフォーム(DMP)」が存在しています。

専門的な分析ツールの導入

膨大なデータを人の手で分析するのは、困難かつ非効率です。データ分析に特化した専門ツールを使うことが推奨されます。

分析ツールとして代表的なのは、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。BIツールは膨大なデータを管理・集約し、必要に応じて分析まで行えます。データドリブン経営をかなえるBIツールは多く存在し、操作性や処理速度、ベンダーのサポート体制など、強みはそれぞれ異なります。自社が必要とする分析方法を実現できる製品を導入することが重要です。

データ活用に意欲的な組織への変容

せっかく基盤やツールを整備しても、活用されなければ意味がありません。「最後は勘と度胸で決める」ような経営にならないよう注意しなければならないところです。

データドリブン経営は、組織全体で実行されてこそ最大限に効果を発揮します。まずは経営層が強い意志をもって改革を押し進めることが重要です。そして、マネジメント層をはじめとした意思決定にかかわるキーパーソンを巻き込むことで、データを活用する文化をはぐくみます。最終的には、部署や役職を横断して途切れなくデータを活用できるような組織づくりを目指します。

データドリブン経営実現のための6ステップ

データドリブン経営を実現するための具体的な流れを、6つのステップに分けて確認しましょう。

ステップ1.データ活用の目的を設定しスコープを定義する

目的に沿うデータ収集・分析を行うために、まずはデータを活用する目的を明確にします。「どの事業・領域を対象にするのか」「優先されるべきはどのようなデータか」などの項目を精査しながら、自社に必要なデータを定義します。

ステップ2.データを収集・蓄積する

データドリブンを経営において効果的に生かすためには、効率的にデータを収集し蓄積する環境整備が求められます。部門・部署ごとにデータが散在している場合には、まずは一元管理するための環境づくりに取り組みます。

ステップ3.データの可視化

必要のないデータをクレンジングし、整理、加工してわかりやすく可視化することで、データの品質を確保できます。より正確で高度なデータ分析のためには欠かせない課程です。

ステップ4.データ分析

データ分析では、自社の目的に沿うよう、あらゆる観点から分析できると理想的です。有効な結果を得られれば、競合他社に差をつけるための価値ある情報となります。

ステップ5.アクションプランの立案

データ分析の結果に基づいて、あらゆる要素を加味しながら最適なアクションを検討・立案します。コストやアクション規模が組織に見合わなければ実現が困難であるため、必要なコストやアクション規模などの観点も持ちつつ検討することが重要です。

ステップ6.アクションプランの実行と検証

アクションプランを作成したら、速やかに実行に移します。実行後は、結果の検証を欠かさないことが大切です。 実行の成果を確認し、進捗が想定よりも遅い場合は原因分析を行い、当初の目標を達成できるように改善策を策定します。業界動向や環境変化を考慮した目標の見直しも、あわせて実施するとよいでしょう。

データドリブン経営で経営力強化を!

変化の激しい時代において、企業は生き残りのために業務効率化や新ビジネスの創出を行わなければなりません。これまでのように勘や経験側に頼るやり方では、正しい経営方針を示せないおそれがあります。

膨大なデータを活用するデータドリブン経営は、データを基に経営戦略の立案を行います。客観的なデータを活用することで、自社の強みの可視化や迅速な意思決定につながるため、経営手法として取り入れてみてはいかがでしょうか。