• 2025. 07. 04
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ERP導入に失敗する原因とは?
成功に導くポイントをわかりやすく解説

ERP導入に失敗する原因とは?成功に導くポイントをわかりやすく解説

業務改革や効率化を目的に導入されるERPですが、期待した効果が得られずに悩む企業も少なくありません。これから導入を検討している企業はもちろん、過去の導入で課題を抱えている企業にとっても、失敗の原因を知ることは非常に重要です。本記事では、ERP導入でよく見られる失敗例とその背景を分析し、成功に導くためのポイントをわかりやすく解説します。

目次

ERP導入でよくある失敗例

ERP(Enterprise Resource Planning)は、ヒト・モノ・カネ・情報といった企業の経営資源を一元管理し、効果的に活用するための考え方です。近年では、この仕組みを実現するシステムやツールそのものを指すことが一般的になっています。データに基づいた意思決定を重視する「データドリブン経営」の広がりにより、ERPへの注目も高まっています。

しかし、その一方で、期待した効果が得られずに導入がうまくいかないケースも少なくありません。ERP導入でよくある失敗には、さまざまなパターンがあります。

予算オーバーと納期遅延

ERP導入プロジェクトでは、当初計画した予算や期間を大幅に超過するケースが頻繁に発生します。当初計画していた導入期間を大幅に超過し、予算も当初の計画を大幅に上回ることも珍しくありません。

業務プロセスとの不適合

ERPを導入したものの、実際の業務プロセスとシステムの機能が合わず、かえって業務が複雑化するケースもあります。システムと業務のミスマッチは、「使いづらい」「前のシステムの方が良かった」という不満を招き、システムの利用率低下や非効率な運用につながりやすくなります。

期待した効果が得られない

ERPを導入したにもかかわらず、当初期待していた業務効率化や経営の可視化といった効果が得られないケースもあります。投資対効果の説明責任が問われ、「ITへの投資は無駄」という誤った認識を強めてしまうおそれもあります。

プロジェクト途中での中断・中止

特に深刻な失敗は、多額の投資を行ったにもかかわらず、プロジェクトが途中で頓挫するケースです。こうした中断は、金銭的損失だけでなく、社員のモチベーション低下を招きます。組織全体にシステム導入への不信感が生まれ、今後の改善取り組みが困難になる可能性もあります。

ERP、データドリブン経営については、下記の記事で詳しく解説しています。

  • ERPと会計システムの違いとは?最適なシステムを選ぶための基礎知識
  • データドリブン経営とは?メリットや実現のステップを解説

  • ERP導入失敗の主な原因

    ERP導入が失敗する背景には、いくつかの共通した要因があります。

    経営層のコミットメント不足

    ERP導入は、全社的な業務改革を伴う大規模なプロジェクトです。経営層が積極的に関与せず、現場任せになってしまうと、部門間の調整が困難になり、プロジェクト全体が停滞します。予算や人材リソースの確保が不十分になりがちで、途中で資金不足や人手不足に陥るケースも少なくありません。

    業務プロセス分析の不足

    現状業務を十分に把握できていないことが原因になる場合もあります。「とりあえず導入すれば業務が効率化する」という誤った期待から、現状を十分に分析しないまま導入を進めるケースは少なくありません。

    また、現行システムの機能をそのまま再現しようとするあまり、過度なカスタマイズを要求することも大きな問題です。これは、開発コストの増大や将来的なアップグレードの困難さにつながります。

    プロジェクト管理の不備

    ERP導入プロジェクトは複雑で長期にわたるため、適切なプロジェクト管理が不可欠です。しかし、非現実的なスケジュール設定や曖昧なマイルストーン、進捗管理の甘さにより、問題が後工程に持ち越されることがあります。

    現場の受け入れ体制の不備

    ERPの導入は単なるシステム更新ではなく、業務プロセスや従業員の働き方の変革を伴うため、現場の抵抗や不満が導入の障壁となりやすい傾向にあります。十分なユーザー教育やサポート体制がなければ、導入したはずのERPが十分に活用されないという事態に陥りかねません。

    ベンダー・システムの選定における考慮不足

    適切なパートナー選びは、成功の鍵を握ります。しかし、コスト面だけを重視したベンダー・システム選定や、自社の業種・業態に対する知見が不足したベンダーとの協業は、プロジェクト全体の質を低下させる要因になります。

    ERP導入を成功に導くためのポイント

    失敗要因を踏まえて、ERP導入を成功させるためのポイントを紹介します。

    現状分析に基づく明確な目標設定

    業務プロセスを可視化し、非効率な部分や課題を明確にすることが欠かせません。これにより、ERPの導入目的を具体化できます。また、量的な数値目標を設定することで、プロジェクトの効果測定と方向性の確認が容易になります。

    適切なプロジェクト体制の構築

    ERP導入を成功させるには、適切なプロジェクト体制の構築が欠かせません。経営層の強いコミットメントを引き出し、業務に精通した各部門のキーパーソンを専任でプロジェクトに参加させることが効果的です。プロジェクトマネージャーには、技術面だけでなく、組織のマネジメント能力を持った人材を配置しましょう。

    標準機能を活用した要件定義の実施

    過度なカスタマイズを避け、標準機能を最大限活用することで、コスト増大やシステムの複雑化を防ぎます。業務プロセスの見直しを通じて、ERPの標準機能で対応できる業務フローへの転換を図りましょう。ただし、競争優位性のある独自の業務プロセスについては、ERPと既存システムをつなぐデータ連携ツールを活用することも選択肢のひとつです。標準機能を生かしながらも自社の強みを維持するバランスの取れた設計が可能になります。

    現場の受け入れ体制の整備

    実際にシステムを使う現場の受け入れ体制を整えることも不可欠です。早い段階から現場担当者を巻き込み、システム設計や決定プロセスへの参加機会を設けることが重要です。十分なトレーニング期間と教育プログラムを確保し、移行直後には手厚いサポート体制を整えることで、スムーズな運用定着が図れます。

    段階的な導入

    ERP導入は、一気に全機能を展開するのではなく、段階的な導入が効果的です。優先度の高い機能から順に導入し、各段階での成功体験を積み重ねることで、組織全体で効果を実感しやすくなります。導入への理解を深めることにもつながるでしょう。

    適切なベンダー・システムの選定

    コスト面だけでなく、ベンダーの業界知識や実績、システムの適合性、サポート体制など多角的な視点での評価が必要です。自社の業種や規模に合った導入実績があるベンダーとシステムを選定することで、業界特有の課題に効果的に対応できます。また、システムの将来的な拡張性や、既存の業務フローとの連携方法についても事前に確認することが重要です。

    ERP導入の成功には段階的な計画と実装がポイント

    ERP導入は企業の業務改革や効率化を実現する重要な取り組みですが、成功させるためには注意すべき点がいくつかあります。導入自体は目的でないことに留意し、組織全体で綿密な準備を進めることが必要です。特に、社内に十分な知見がない場合は、信頼できるベンダーの支援が不可欠です。

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