• 2023. 08. 25
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経営分析に役立つツールとは?
上手な活用ポイントまで徹底解説!

経営分析に役立つツールとは?上手な活用ポイントまで徹底解説!

ビジネスのデジタル化が進む今、業績管理や予実管理、予測情報といった経営分析に活かせるデータの量も日々増加しています。自社の競争力を高めるためには、いかに正確、かつ迅速に分析できるかがカギとなってくるでしょう。

経営分析の効率化を目指すなら、分析ツールの導入が有効です。そこで今回は、経営分析でよく利用されているツールを紹介し、メリット・デメリット、上手に活用するためのポイントについて解説します。

目次

経営分析の概要・目的

はじめに、経営分析とはなにか、どのような目的で実施されるものなのかをおさらいしておきましょう。

経営分析とは、自社の経営状況を客観的なデータ(財務諸表や決算書、市場や競合企業に関する外部資料など)から分析し、経営戦略に役立てることです。

企業は、経営分析を実施することで、自社の生産性や成長性を正確に把握できます。自社の現状や特徴を正しく理解したうえで、経営戦略の策定や見直しを迅速・的確に行うことが経営分析の目的です。

※経営分析の詳細については、
「経営分析の4つの手法や見るべき指標、効率的に行うポイントまで解説!」をご覧ください。

経営分析でよく利用されるツール

企業が経営分析を行う際によく使われているのは、BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)とMicrosoftが提供する表計算ソフト「Excel」です。それぞれの概要は以下のとおりです。

BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)

BIツールとは、企業が持つさまざまなデータを分析・加工し、迅速な意思決定を支援するソフトウェアのことです。クラウド型も存在します。

最大の特徴は、膨大で複雑なデータを簡単に集約できる点です。多角的な分析が叶ううえ、グラフを用いてシンプルに可視化できるため、経営上の課題がどこにあるのか一目でわかり、客観的根拠に基づいた意思決定につながります。

フォーマットが異なるデータを統合管理できる点も大きなメリットです。集めたデータは任意に集計、抽出、グラフ化などが可能です。

データ分析の知識を有する人がいなくても分析でき、本社・支社・協力会社や部署、プロジェクト、個人単位でアクセス権限を制御可能です。

上記のように多くのメリットがある一方で、一定のコストと導入時の設定が必要であるといったデメリットもあります。

Excel

Excelは、データの集計や計算ができる表計算ソフトウェアです。多くの企業で普及しているソフトウェアで、通常業務でも多く利用されています。マクロ機能を使えば処理を自動化できることから、経営分析にもよく用いられているようです。

Excelは、データ分析で求められる以下のような基本的な手法が搭載されています。

  • 分散分析 / 相関 / 共分散 / 基本統計量 / 指数平滑 / F検定など

また、データ分析に必要な機能(ピボットテーブル機能/関数機能/グラフ作成機能/予測シート機能など)を備えている点も魅力です。

Excelのみで経営分析は可能?

専用の分析ツールを利用せず、すでに多くの業務で使用されているExcelのみで経営分析ができれば、便利なことは確かです。しかしExcelには、見過ごせないデメリットも存在します。

ここでは、経営分析におけるExcelのメリットとデメリットを確認しておきましょう。

経営分析でExcelを利用するメリット

Excelは、すでに多くの企業で導入されているソフトウェアであることから、導入・教育コストをかけずにスムーズに利用しやすいと考えられます。既存の経営資源やこれまで培ってきた業務経験が生かしやすいでしょう。

汎用性が高く、新たな指標や計算値を盛り込む必要が生じたとしても、柔軟に対応できる点もポイントです。少量のデータ分析に強いという特徴を踏まえると、期間限定セールの効果測定や1日あたりの受注数といった短期間で得たデータの処理に向いているといえます。

経営分析でExcelを利用するデメリット

導入の負担が少なく、短期間で得た少量データの分析には強いExcelですが、手入力・手作業が多いことからスピード感が得られにくく、人的ミスのリスクもつきまとう点がデメリットです。さらに、データ共有によるリアルタイム編集が難しいという特徴もあります。

データの取扱量にも限界があり、大量データの処理には向きません。データ容量が大きくなると、処理に時間がかかってしまったり、PCがフリーズしたりします。最悪の場合には、データが破損する恐れもあるため注意が必要です。

また、フォルダごと・ファイルごとに細かいアクセス権限が設定できないため、セキュリティ面にも不安が残ります。設定内容に属人的要素が多く、保守性が悪いことを考えると、すべてのデータの分析をExcelのみで行うことは避けたほうがよいといえるでしょう。

経営分析でBIツールを上手に活用するための5つのポイント

Excelのデメリットを見ると、効率的に経営分析を行うためには、Excelのみに頼るのではなくBIツールも活用していきたいところです。

では、BIツールの良さを最大限に活かすためには、どのようなコツがあるのでしょうか。5つのポイントを紹介します。

1.「誰が」「なんのために」活用するのかを明確にする

まずは、BIツールを導入する目的や使用する「部門・人(誰が)」を明確にし、経営層と導入現場とで「なんのために」活用するのかという認識をすり合わせて共有しておくことが重要です。これらが不明瞭で社内の認識が共有されていない場合、課題に適したツールを選べないだけでなく、導入後にも効果的な測定が実現しにくいと考えられます。

2.小規模からはじめる

混乱やリスクを最小限に抑えるためには、部署やチーム単位から導入するスモールスタートがおすすめです。スタート規模が小さければ、導入ツールと相性が合わない場合に他ツールへの変更を検討しやすいはずです。まずはBIツールの必要度が高いところからはじめ、成果を見ながら徐々に組織全体へと拡大していくとよいでしょう。

3.正確なデータを取り扱う

正確性を増すための仕組みづくりにも取り組む必要があります。いくら優秀なツールを導入したとしても、分析のベースとなるデータが誤っていれば、正確な測定結果は得られません。

的確な経営分析を行うには、例えば、財務諸表の作成や予実管理を行うためのデータの作成・管理段階からシステムを活用する方法があります。データをシステム内に組み込んで自動で共有や連携できるようにすれば、人的ミスを最小限に抑えることができます。

4.分析・改善のサイクルを回す

BIツールでのタイムリーな集計・分析に加えて、改善・実施まで含めてPDCAサイクル(※)を回すことで、より精度の高い効果が得られるでしょう。基本的には月1回が目安ですが、重要プロジェクトについて週1回の集計・改善が理想的です。

※Plan(計画)/ Do(実行)/ Check(評価)/ Action(改善)の循環を指す

5.効果的なダッシュボードを作成する

ダッシュボードとは、分析結果をグラフや表などで視覚的にわかりやすく表示したものです。経営分析専用のダッシュボードを作成すると、情報理解が促進され、よりスピーディで効率的に分析・改善が行いやすくなります。

ダッシュボードの作成では、以下が重要なポイントです。

  • 必要な情報が網羅されているか
  • 自社に合わせて指標を絞り込み、見やすくレイアウトできているか

分析ツールを活用してスムーズに経営分析を実施しよう

経営分析は、自社の状況を客観的に把握し、的確に舵を取るために欠かせない業務といえるでしょう。しかし、情報技術が発展し、さまざまな情報が行き交うようになった現代では、処理すべきデータ量も増え、複雑化しています。

分析ツールを活用すれば、専門知識や経験がなくても分析が行えます。コストや手間をかけずに経営分析を取り入れる分にはExcelでも事足りるとはいえ、より迅速で正確な経営判断を実現するなら、BIツールの導入がおすすめです。この機会に、ぜひ検討してみてください。