• 2020. 08. 20
  • テレワーク   
  • 電子帳簿保存法

進まない経理部門のテレワーク化を!
情報が一元化できる会計システムで解決

経理 テレワーク

働き方改革やリスクマネジメントの目的から、オフィスを前提としない働き方として「テレワーク」の導入が進んでいます。経理部門も、定型業務をテレワーク化することで生産性アップなどを期待できます。

しかし、情報共有を必要とするワークフローや押印の手間など、悩ましい問題もまだ残っています。テレワークは、プログラマーやエンジニアなどの職種では多くの企業で実践されていますが、経理部門では企業の重要情報を扱うという点で難しいのかもしれません。

そこで本コラムでは、経理部門のテレワーク化を阻害する要因を紐解き、その解決方法として、経理・会計業務に特化したシステムをご紹介します。

目次

これからの働き方は、テレワークに向けてシフト

企業の生産性アップや、社員のワークライフバランスの観点から、働き方改革が進められています。そのひとつの方法として、「テレワーク」に注目が集まっています。テレワークとは、ICT(情報通信技術)などを活用し、自宅やサテライトオフィスなど、普段、仕事を行うオフィスとは違う場所で仕事をすることを意味します。

テレワークには、企業経営のリスクを下げる効果も期待できます。例えば、自然災害やオリンピックのような大規模イベントにより出社が難しくなることや、労働人口の減少による人材不足などは、企業経営のリスクとなりえますが、こうしたリスクを下げるうえでも、テレワークはひとつの解決策となるでしょう。

総務省の「令和4年 通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、テレワークを導入している企業の割合は2022年において5割を超えている一方、今後導入予定があると回答した企業の割合は減少傾向にあります。これは、テレワークの導入目的を「新型コロナウイルス感染症への対応(感染防止や事業継続)のため」と回答した企業の割合が87.4%と、最も高かったことが関係しているのでしょう。

実際に、総務省の「令和3年版 情報通信白書のポイント」によるとテレワーク実施率は、2020年の緊急事態宣言中は上昇していましたが、宣言解除後は実施率が低下しています。

しかし、感染症や自然災害等への強靱性を確保する観点からも、テレワーク等のデジタル活用を定着させることが必要です。

経理業務のテレワーク対応の現状

一般的に経理部門においてはテレワークの導入があまり進んでいないといわれていますが、現状はどうなのでしょう。前章と同じく総務省の「令和4年 通信利用動向調査報告書(企業編)」から見ていきます。

産業別に見ると「運輸業・郵便業」「サービス業」等がやや低いといったばらつきはあります。しかし、それらの産業も2020年以前の普及率と比較すると割合は大きく伸びており、企業全体で普及が進んでいるといっていいでしょう。

一方で、同資料によるとテレワークを導入しない理由として以下が挙がっています。

  • テレワークに適した仕事がない
  • 業務の進行が難しい
  • 情報漏えいが心配だから

経理部門は請求書や領収書などの紙の書類で業務を行ったり、会計データといった機密性の高い情報を扱ったりします。つまり経理業務は上記のような特質をもつことが多く、テレワークを導入しにくい部門であることがわかります。

実際に2020年4月6日に一般社団法人日本CFO協会が発表したアンケート調査「新型コロナウイルスによる 経理財務業務への影響」によると、テレワークを実施できない最大のネックとして、「請求書や証憑などの紙の書類がデジタル化できていない」という回答が挙げられています。また、同調査では、2020年2月〜3月のテレワーク実施中に出社した理由として「紙の書類の処理(請求書・証憑書類・押印手続・印刷)」という回答が寄せられています。

一般的な経理業務では、取引の稟議書や請求書、領収書などが紙で集約され、これを基に経費精算システム、会計システムの入力、帳票レポート作成などが行われています。そのため、業務を進めるには紙ベースのエビデンスを確認する必要があり、テレワーク化をすると必要な情報にすぐにアクセスできないという問題が起きてしまいます。作業をデジタルで行っていても、最終的には印刷して決裁者の押印が必要になるケースもあるでしょう。

さらに、経理部のテレワーク化が進まない背景として、経理業務の事務フローが標準化されておらず、属人化していることも挙げられるでしょう。特に中小企業の場合、キャリアの長い経理担当者でなければ、細かな処理手順がわからないことが少なくありません。こうした場合にテレワークで経理担当者の仕事場が分散し、円滑な情報共有ができなくなると、業務の遅れに直結すると考えられます。

つまり、経理部門は、業務の特性からテレワークが難しいという現状が推測できます。

経理のテレワークが進まない要因

経理のテレワークが進まない理由を、要因ごとに具体的に見ていきます。

デジタル化が進んでいないケースが多い

経費の精算や請求書などの業務において帳票類の電子化が進んでいないと、出社して紙の書類をチェックする必要があります。

重要情報を扱うため、厳格なテレワーク体制を整えなくてはならない

経理部門が扱う書類は、企業のお金に関する取り扱いなど、事業の内部情報に関わる内容が多くあります。テレワークで対応するには、業務の電子化やクラウドサービスの利用などに加え、機密情報の保護やセキュリティ面での対策が必要です。

密なコミュニケーションが必要

経理部門は、業務連絡や他部門からの問い合わせなども多い部署です。直接書類を見て問い合わせ対応したい、対面のコミュニケーションの方が安心できる、といった声も少なくありません。

現金のやり取りが発生することがある

紙の領収書と現金を突き合わせての経費精算では、出社が必須となります。

経理業務をテレワーク化するメリット

テクノロジーの進化や新しい働き方への対応として、経理テレワークの検討が大企業や中堅企業にとって不可欠です。そのためには帳票類の電子化と、デジタル化に適した財務会計システムへの刷新が求められます。現状を見直すのは手間がかかるかもしれませんが、テレワークが実現すればビジネスに多面的なメリットをもたらします。

経理テレワークのメリット

柔軟性と生産性向上

テレワークにより従業員は通勤時間を削減できます。柔軟な労働時間を享受でき、結果として生産性が向上します。

業務継続性と災害対策

物理的な制約を超え、経理業務をリモートで継続できるため、災害時や緊急事態への備えが容易です。

オフィスコストの削減

オフィススペースや関連コストの削減が可能で、企業の経済的なメリットにつながります。

財務会計システムの刷新(デジタル化)のメリット

経費精算の連携による効率アップ

業務全体をカバーするワークフローシステムにより、経費精算が効率的かつ正確に行えます。

リアルタイムなデータ管理

デジタル化により、リアルタイムで経理データを管理でき、迅速な意思決定が可能です。

自動化による精度向上

各種ソフトウェアにより、繰り返しの作業が自動化され、人的なミスが削減されます。

経理業務をテレワーク化するために必要な対応や環境整備

経理業務をテレワーク化するには、次のような対応と環境整備が必要です。

テレワーク化に必要な対応

経理部門のテレワーク化を進めるうえでまず必要となるのが、「経理業務のデジタル化(ペーパーレス化)」です。紙で管理されていた情報をデジタル化することで、システムのネットワーク上で情報共有できるようになり、エビデンス確認や押印のために出社するといった無駄を解消できます。

また、デジタル化を進める過程で、業務フローの見直しができるという付加価値が生まれます。その結果、経理業務が標準化され、属人化の解消にもつながります。データの自動取り込みや転記などの機能が充実しており、他のシステムやツールとの連携が容易な財務会計システムを利用すれば、効果的に業務を削減しながらテレワーク化を図ることができるでしょう。

経理部門の準備として、次のような対応が必要です。

経理関係の書類をデジタル化

紙媒体の帳簿や決算関係書類をデジタル化することや、自社で作成・発行する請求書や領収書などの経理書類を紙ではなく電子データで作成することが該当します。

紙で受領した書類のデジタル化

電子帳簿保存法のスキャナ保存制度を導入します。それによって受け取った紙の請求書や領収書などについても、デジタル化が図れます。

経理業務の電子化を推進する

出社が必要なハンコを止めて、電子署名に移行します。社内の承認プロセスにおいてもオンラインで対応できるよう、プロセス改変を行いましょう。経理業務につきものと考えられている押印も、法律上求められているものではなく、承認プロセスを明確にするために社内ルールとして設けられているのが実情です。そのため、システム上で承認プロセスを確認できるようにし、決裁や差し戻しもシステム内で行えば、押印を削減できます。

現金の取り扱いを減らす

現金のやり取りは、出社の必要性が生じます。そのため法人用クレジットカードや電子決済を導入し、経費精算のデジタル化を進めます。また企業間取引においてもインターネットバンキングを活用します。

テレワーク化のための環境整備

テレワーク化のための環境整備として次のような項目が挙げられます。

ネットワーク・PCのセキュリティ対策を万全にする

例えば、VPN(Virtual Private Network)を導入して、テレワーク拠点と本社を安全に接続し、データの送受信を暗号化すること。二段階認証を取り入れてパスワードだけでなく、別の認証要素を要求してセキュリティを強化することなどが該当します。常に最新のセキュリティソフトウェアを導入して、ウイルスやマルウェアからデバイスを保護することも重要です。

テレワークにおける社内ルールを策定し共有する

VPN接続や二段階認証といったセキュリティ体制を整えても、使う側の意識が徹底しないと、効果が薄くなってしまうかもしれません。OSを定期的にアップデートすることや、不用意にファイルやアプリケーションをダウンロードしない、といった社内ルールを徹底してセキュリティ意識の向上を目指します。

テレワーク時に円滑なコミュニケーションが取れる体制を確保

ビデオ会議による定期ミーティングやグループチャットでチーム全体のコミュニケーションを活性化させるなどして、メンバー同士の結束を高めましょう。1on1で不安や悩みを相談できる体制を整えます。

テレワークでは従業員の業務が目に見えないため、業務の可視化も重要です。タスク管理ツールやタイムトラッキング(時間管理)ツールを導入して業務の進捗や生産性を把握することで、適切なフォローとサポートを行います。

クラウドサービス等を含め、デジタル化に対応するためのツールを導入する

テレワークに適した体制や業務フローを再構築するために、必要に応じて電子会計システムや電子はんこツール、ワークフローシステム等の導入も検討しましょう。

特に、クラウドベースのシステム導入が経理部門のテレワーク化には有効でしょう。クラウドベースの経理ソフトウェアやデータストレージを導入することで、チーム全体でリアルタイムに情報を共有し、効率的な作業が可能になります。また、バックアップやセキュリティもクラウドサービス提供側で管理されるため、安心して利用できます。

アクセス権限の設定を行う

経理情報には機密性の高いものも含まれるため、必要な情報にのみアクセスできるよう、適切にアクセス権限を管理します。必要な情報にアクセスできないと業務が滞ることもあるので、細心の注意を払いましょう。

経理業務をテレワークで行う際の注意点

前章でも触れましたが、経理業務のテレワーク化で特に注意しなければならないのはセキュリティ対策でしょう。お金を扱うことが多く、機密情報である財務情報も関わってきます。外部から情報を閲覧・取得されることがないよう、セキュリティ対策を万全にしなければなりません。また、経理業務のテレワークは、クラウドサービスに依存するためベンダーやサービスの選択も重要です。

そして、テレワークという新しい働き方を導入するにあたり、勤務体制を見直すことも必要です。フレキシブルな勤務時間の導入や規程とガイドラインの整備などによって、さらにテレワーク化が進むことでしょう。

テレワークには、従業員が柔軟な勤務時間を取ることができるというメリットがあります。業務の締め切りや重要なタスクに合わせてフレキシブルな勤務時間を導入することで、従業員のワークライフバランスを向上させましょう。テレワークに関する明確な規程やガイドラインを策定し、全ての従業員に周知徹底することで、業務の円滑な運用やセキュリティの確保を図ります。

経理部門のテレワーク化を加速させる、ICSパートナーズのOPEN21 SIAS

経理部門のテレワークの導入では社内業務のデジタル化やシステム・ツールの活用、セキュリティ対策がポイントになることが伺えます。データの一元管理が可能な財務会計システムを導入し、適切なセキュリティ対策を講じることで、テレワーク環境の整備とデータの安全性を確保できます。

テレワークに適した財務会計システムの導入が、企業において業務の柔軟性と効率性の向上をもたらし、デジタル時代のビジネスにおける競争力向上につながります。

ICSパートナーズ社が開発・販売している企業向け会計システム「OPEN21 SIAS」は、経理の業務効率化はもとより、テレワーク化にも役立ちます。専門ベンダーが開発したシステムなので、かゆい所に手が届くシステムと導入ノウハウ豊富なスタッフの支援により、短期導入・安定稼働の実現を可能にします。

OPEN21 SIASは、一般的な会計システムとは異なり、会計伝票データにエビデンスファイルを紐付けられる「ファイルLINK機能」を保持しています。このファイルLINK機能によって、稟議書・支払依頼・精算書・請求書・領収書といったエビデンスの内容を、OPEN21 SIASのデータ検索等で確認できます。また、システム上で承認処理もできるため、経理業務から押印の手間をなくすことも可能です。

つまり、ファイルLINK機能を使うと、システムの会計伝票データから、「どういう理由で計上された情報なのか」「誰が、どのように意思決定したのか」といったことを、パソコンがあれば、VPNなどのネットワークを通じて、ご自宅等、どこからでも把握できるのです。

OPEN21 SIASは、インターフェースも使いやすいようデザインされているため、業務の標準化、さらには属人化の解消に役立ちます。簿記になじみが少ない営業担当者であっても、使用した取引を選択するだけで会計伝票が自動生成され、その会計伝票の集計結果である財務諸表などの帳票作成につながるので、特別な知識やスキルは必要ありません。

ICSパートナーズ社は、OPEN21 SIASをパッケージシステムとして自社開発しています。そのため、イニシャルコスト、ランニングコストが低く、導入後のバージョンアップやサポートなどの対応も万全です。しかも、オリジナル開発システム並みの汎用性や拡張性も保持しています。

ICSパートナーズ社ではワークフローの設計などのご相談にも対応しています。経理部門のテレワーク化を検討されている方は、ぜひ、お問い合わせのうえ、OPEN21 SIASをお試しください。