• 2023. 07. 24
  • 経理DX   
  • 業務改善・業務効率

経理DXが注目されている理由、メリットや進め方、
役立つツールを解説

経理DXが注目されている理由、メリットや進め方、役立つツールを解説

経営企画部門や経理部門の責任者であれば、経理DXの重要性について理解しており、推進を検討している企業も増えています。しかし、実際に推進する際の進め方が分からない場合もあるかもしれません。

本記事では、これから推進を検討している企業や、対応に課題を感じている企業に向けて、経理部門のDXを進める方法と必要なツールについて解説します。経理DXの概要、注目されている理由やメリットなどについても触れますので、ぜひご参考になさってください。

目次

経理DXとは

ビジネスにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、新しい商品やサービス、ビジネスモデルによって新しい価値観を創造し、企業価値の向上を実現することだとされています。

経理DXは、経理業務にその概念を当てはめることです。具体的にはデジタル技術を活用して経理業務を効率化し、付加価値を向上させる取り組みを指します。従来の経理業務では、多くの企業が紙ベースの文書や手作業に頼っていました。しかし、そのプロセスをデジタル化や自動化によって効率化し、経理業務の高度化を実現します。

経理DXが注目される社会的背景

経理DXが注目されるようになった大きな理由は、デジタル技術の進化によって実現が容易になったことでしょう。また、経理DXが注目されている理由はいくつかあります。

前提として、日本企業全体について経理業務のデジタル化が遅れていることが挙げられます。紙の帳票や手渡しによる経費精算などが主流であったり、経費精算にはんこが必要であったり、デジタル化が遅れている企業は少なくありません。手作業や紙ベースのプロセスをデジタル化・DX化することで、業務の効率化とコスト削減を実現できる可能性が高まります。

次に、経理業務の正確性やスピード化が求められていることも、DXの推進が求められる大きな理由です。人手不足とはいえ、経理業務において正確性は必須です。また、経理業務にスピード感がないと、ビジネスの停滞が起こりかねません。デジタル化されたデータは正確性が高いうえに、リアルタイムで利用しやすいという利点があります。

AIによる帳票の自動認識や異常検知などは、手作業に比べて高速かつ正確であり、労力の削減や人的ミスの軽減が期待できます。そして、経理業務のデータは、企業の業績分析や将来の予測に活用できます。リアルタイムで活用できるデジタルデータは、経営への貢献が期待できます。

これらの理由から、経理DXは企業の競争力向上や業務効率化に貢献する可能性が高く、その価値が広く認識されているため、注目を集めています。

経理DXを推進するメリット

経理DXを推進することによって、具体的には以下のようなメリットが得られます。

効率化と生産性向上

繁雑な手作業や紙ベースのプロセスを自動化し、効率的な業務処理を実現できます。これにより、従業員の時間とリソースの節約、業務の迅速化、生産性の向上が期待できます。

また、経費業務や予算管理の効率化が図られます。デジタル化によってどこからでも経費精算申請ができ、請求書等の共有も容易になります。処理時間の短縮やヒューマンエラーの削減が実現され、経費管理の改善とコスト削減が期待できるのです。

正確性と精度の向上

データの一元管理や自動転記によって、人為的なミスやエラーのリスクを低減できます。正確で信頼性の高いデータの提供や処理により、経理情報の正確性と精度が向上すれば、正確な意思決定の基礎となるでしょう。また、システム導入、フローの標準化により、部署の誰もがスムーズかつ同等の水準で業務を遂行できるようになります。

情報の可視化とリアルタイムな意思決定

経理DXによって蓄積されたデータを活用し、データ分析や予測能力の向上が可能です。データを可視化し、傾向やパターンを把握することで、予算の最適化やリスク管理に関する洞察を得ることができます。

また、経理データや財務情報をリアルタイムな把握にもつながります。経理システムやデータの一元管理により、迅速なレポート作成や分析が可能となり、経営陣や関係者に即座に情報を提供できることでしょう。


これらのメリットによって、経理DXは業務効率化、正確性向上、意思決定の迅速化、戦略的な経営など、企業の競争力強化への貢献が期待されます。

経理DX推進に役立つツール

経理DXの進め方と、推進に役立つツールをご紹介します。

経理DXの進め方

経理DXを進めるためには、以下のステップを考慮することが重要です。

1.ビジョンと目標の設定

まずは、ビジョンと目標を明確に設定しましょう。具体的な目標を立てることで、進捗を追いやすくなります。例えば、経理プロセスの自動化の割合や効率化による業務時間の削減目標などを設定します。

2.現状の評価と改善項目の特定

現在の経理プロセスを評価し、改善の余地がある項目を特定します。プロセスの可視化やデータ分析を行い、どの部分をデジタル化や自動化すべきかを把握します。また、従業員の意見やフィードバックも重要な要素として考慮しましょう。

3.技術の選定と導入計画の策定

経理DXに必要な技術やツールを選定し、導入計画を策定します。導入にはコストや利便性、セキュリティなどを考慮し、自社にとって適切な技術・ツールを選ぶことが重要です。

4.小規模な実施

全面的な導入に入る前に、特定のタスクに焦点を当て小規模で実施して効果を評価します。限られた範囲で経理DXを導入し、その効果や課題を把握します。このとき、関係者とのコミュニケーションやトレーニングも重要な要素です。

5.従業員の教育と変革の促進

本格的な経理DXの導入には従業員の理解と協力が欠かせません。従業員に対して必要なトレーニングや教育プログラムを提供し、変革への意識とスキルを向上させましょう。導入プロセスの透明性や利便性の向上など、現場の従業員が変革のメリットを実感できるような環境づくりも重要です。

6.モニタリングと改善

経理DXの導入後は、継続的なモニタリングと改善を行いましょう。定期的な評価やフィードバックの収集を通じて、経理DXの効果や課題を把握し、必要な調整や改善を行います。


以上のステップを経て、経理DXの導入と推進を行うことができます。重要なのは、継続的な改善と変革の文化を育むことであり、経理DXを単なるプロジェクトではなく組織文化の一部として取り組むことです。

経理DXに役立つツール

経理DXを実現するために役立つツールは多岐にわたります。いくつかの代表的なツールをご紹介します。

文書管理ツール

経理部門では多くの請求書や領収書などの文書を扱います。デジタル文書管理ツールを活用することで、電子化された文書のナレッジ化が叶います。ツールを活用することで、データの検索や共有が容易になるでしょう。

ワークフローソフトウェア

経理プロセスの自動化や効率化を支援するワークフローソフトウェアは重要です。デジタル化により、出張先や営業先、もしくは離れた支店等からも経費精算の申請を出しやすくなります。また承認・差し戻し、支払いの自動化など一連の業務をスムーズに実施できます。

AIによるデータ認識ツール(AI-OCR)

AIや機械学習を活用したデータ認識ツールは、請求書や領収書の自動認識やデータ抽出を行う際に役立ちます。OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)技術を使用して、紙の文書をデジタルデータに変換。クラウド等にスマートに保存できるほか、必要なときはどこからでも情報を抽出できます。

ビジネスインテリジェンスツール

ビジネスインテリジェンスツールは、会計に関わるデータを集約し、膨大なデータの可視化や分析に役立ちます。ダッシュボードやレポートを作成し、財務状況や業績をリアルタイムで把握できます。


これらのツールは経理DXを実現するための一部です。組織のニーズや要件に合わせて、最適なツールを選択し導入することが重要です。例えば、セキュリティを考慮したICT環境を整え、クラウドを利用することも経理DXを実現する手法のひとつです。

施策の立案やツールの選定などに関するご相談はICSパートナーズへ

経理DXは組織全体にとって意義のある取り組みです。導入の手順や検討すべきDXツールを見極め、経理DXを推進していきましょう。ただし、DXは非常に専門的な施策であり、組織文化の変革として取り組む必要があります。最適なツール選択や効果の最大化のためには、外部の専門家への助言を求めることをおすすめします。施策の立案やツールの選定などに関することは、ぜひICSパートナーズへご相談ください。