• 2026. 06.11
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生成AIとAIの違いとは?
経理・会計業務での活用例、メリット、注意点を解説

生成AIとAIの違いとは?経理・会計業務での活用例、メリット、注意点を解説

ChatGPTの登場をきっかけに、生成AIはビジネスの現場でも急速に普及が進んでいます。一方で、「従来のAIと生成AIは何が違うのか」「自社の経理業務にはどちらを活用すべきか」と判断に迷うケースも少なくありません。AIと生成AIは、どちらもデータを活用する技術ですが、それぞれに異なる特徴があります。

本記事では、AIと生成AIの違いを整理したうえで、経理・会計業務における具体的な活用例や使い分けのポイント、導入時の注意点まで解説します。

目次

AIとは

生成AIとAIの違いを正しく理解するには、まずAIそのものの基本を押さえておくことが大切です。

AI(Artificial Intelligence:人工知能)とは、人間の知的な判断や認識をコンピュータで再現する技術の総称です。

AIの中核を支えるのが「機械学習」と「ディープラーニング(深層学習)」という技術です。

機械学習は、大量のデータからパターンやルールを自動で学習し、予測や分類を行います。ディープラーニングは機械学習をさらに発展させた手法です。より複雑なデータの特徴を自ら抽出でき、画像認識や音声認識の分野で高い精度を実現しています。

現在、ビジネスで活用されているAIの多くは、特定のタスクに特化した「特化型AI」です。たとえば、画像の中から文字を読み取るAI-OCRや、大量のデータから異常値を検知するシステムなどがこれにあたります。経理の現場では、請求書の自動読み取りや入金消込の自動マッチングなど、「大量のデータを高速かつ正確に処理する」場面でAIがすでに活躍しています。

経理業務におけるAI活用については、「経理業務のAI活用とは?メリット・具体例・導入ステップ・注意点を解説」で詳しく解説しています。

生成AIとは

生成AI(Generative AI)とは、学習したデータのパターンをもとに、新しいテキストや画像、コードなどを生成するAI技術の総称です。従来のAIがデータを「分析」して答えを導き出すのに対し、生成AIは新たなコンテンツを生み出す点に特徴があります。

この技術の基盤となっているのが、大規模言語モデル(LLM)です。LLMは膨大なテキストデータを学習し、次に来る単語を予測することで、人間のような自然な文章を生成できるAIモデルで、ChatGPTやClaudeなどの基盤技術として利用されています。

専門知識がなくても、日常的な言葉で指示を出すだけで文章・画像などを生成できる手軽さが、普及の背景にあります。

【比較表】AIと生成AIの違い

AIと生成AIの違いを表にまとめると、以下のようになります。

経理業務で例えると、仕訳データの異常を検知するのがAI、その異常に対する報告文を作成するのが生成AI、という役割分担になります。

AI(従来型) 生成AI
主な役割 データの分析・判断・予測 新しいコンテンツの生成
アウトプット 数値・スコア・分類ラベルなど 文章・メール文面・コードなど
得意な処理 大量データの高速・正確な判定 柔軟な表現が求められる文書作成・要約
経理での活用例 AI-OCRによる請求書読み取り
仕訳の異常検知
入金消込の自動マッチング
月次報告書のドラフト作成
監査対応資料の作成
社内問い合わせへの回答

生成AIはAIの一分野であり、AIという大きな枠組みに含まれる技術です。どちらかを選ぶものではなく、それぞれの強みを生かして組み合わせることが、実務で効果的に活用するポイントになります。

生成AIの種類と代表的なツール

生成AIの種類と代表的なツールについて紹介します。

生成AIの種類

生成AIは、扱うデータの種類によっていくつかに分けられます。主な種類は以下のとおりです。

  • テキスト生成AI:文章の作成・要約・翻訳を行う
  • 画像生成AI:テキストの指示から画像やイラストを生成する
  • 音声・動画生成AI:自然な音声合成や短い動画の自動生成を行う。ナレーション作成やプレゼン素材の制作に活用が広がりつつある

生成AIの代表的なツール

代表的なツールとしては、ChatGPT(OpenAI)、Gemini(Google)、Claude(Anthropic)などが挙げられます。これらは当初テキスト生成が中心でしたが、現在は画像生成など複数の機能を備える場合も増えています。

また、Microsoft 365に組み込まれた「Copilot」のように、ExcelやWordと連携して経理業務を直接サポートする生成AI機能も普及しています。

経理・会計業務での生成AIの活用例

生成AIは単体で業務を完結させるのではなく、既存のAIや業務システムと連携して活用されるケースが一般的です。ここでは、経理・会計業務における具体的な活用例を紹介します。

請求書処理

AI-OCR(光学文字認識)で請求書の金額・日付・取引先を自動読み取りし、生成AIが仕訳の摘要文を作成します。読み取りから仕訳起票までの手作業を大幅に削減できます。

仕訳チェック

AIが過去の仕訳パターンと照合して異常値を検知します。生成AIが差異の原因を要約したレポートを出力します。チェックから報告作成までを一連の流れで効率化できます。

月次決算

AIが各勘定科目の増減を自動集計し、生成AIが経営層向けのコメントを含む報告書のたたき台を生成します。ベテラン社員に頼りがちだった作成業務の属人化を解消できます。

社内問い合わせ対応

生成AIを活用したチャットボットが、経費精算ルールや勘定科目の使い分けに関する質問に即時回答します。問い合わせ対応にかかる工数を削減し、担当者が本来の業務に集中できるようになります。

生成AIを経理・会計業務に活用するメリット

生成AIを導入・活用することで、経理・会計業務では主に3つのメリットが期待できます。

属人的な業務の標準化

月次報告書や監査対応資料の作成は、ベテラン社員の経験に頼りがちな業務のひとつです。生成AIにたたき台の作成を任せることで、経験の浅い担当者でも確認・修正だけで対応できるようになり、業務の属人化を解消できます。

対応スピードの向上

従来のAIが異常値を検知しても、報告文の作成は人手に頼る必要がありました。生成AIを組み合わせることで、検知から要約レポートの出力までを一連の流れで処理でき、報告のリードタイムを大幅に短縮できます。決算業務全体のスピードアップにもつながるため、決算早期化を目指す企業にとって有効な手段となるでしょう。

決算早期化については、「決算早期化が求められる背景とメリットとは?ボトルネックや解決方法を解説」で詳しく解説しています。

既存ツールとの組み合わせによる相乗効果

AI-OCRやRPAで自動化済みの業務でも、仕訳摘要の作成や日次レポートなどでは手作業が残りがちです。ここを生成AIが埋めることで、業務全体の効率をもう一段引き上げられます。生成AIは単体で業務を完結させるものではなく、既存ツールと組み合わせることでより高い効果を発揮し、経理DXにも役立つでしょう。

RPAとAIを組み合わせた活用例については、「RPAとAIの違いとは?組み合わせるメリットや経理業務での活用例を解説」で詳しく解説しています。

経理DXの全体像については、「経理DXが注目されている理由、メリットや進め方、役立つツールを解説」で詳しく解説しています。

経理・会計業務で生成AIを活用する際の注意点

経理・会計業務で生成AIを活用する際には、以下の点を注意しましょう。

機密情報・個人情報の取り扱い

経理業務では、取引先の財務データや個人情報など機密性の高い情報を日常的に扱います。一般的なクラウド型AIサービスでは、入力したデータが生成AIの学習に利用される可能性があるため、情報漏洩のリスクがあります。法人向けのエンタープライズプランを契約するか、入力前に固有情報をマスキング(匿名化)する運用が不可欠です。

法令関連の最新情報を確認する

税法や会計基準は毎年のように改正されるため、生成AIが学習したデータが古く、現行の法令と異なる解釈を示すことがあります。毎年発表される税制改正や、インボイス制度や電子帳簿保存法のように近年大きく変わった分野では特に注意が必要です。生成AIの回答を参考にする際は、最新の通達やガイドラインと照らし合わせて確認することが求められます。

直近の税制改正については、「令和8年度税制改正(2026年度)改正|暮らし・働き方・企業活動はどう変わる?」で詳しく解説しています。

電子帳簿保存法の基礎知識や対応ポイントについては、「電子帳簿保存法をわかりやすく解説!基礎知識と対応のポイント」もあわせてご覧ください。

人によるチェックを徹底する

生成AIには、もっともらしい文章で誤った情報を出力する「ハルシネーション」と呼ばれる現象があります。生成AIの出力はあくまで「たたき台」と位置づけ、最終的な確認と判断は必ず担当者が行う体制を整えることが重要です。

また、AIの出力を正しく評価・修正するには会計知識とAIリテラシーの両方が求められるため、定期的な社内研修を通じた人材育成もあわせて進めておきましょう。

社内ガイドラインを整備する

生成AIを会計・経理業務に導入する際は、利用範囲や運用ルールを定めた社内ガイドラインの整備が欠かせません。「使用可能な業務」「入力禁止情報」などを定めることで、安全に活用できる環境が整います。

ガイドラインの策定にあたっては、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」が参考になります。同ガイドラインでは、組織での生成AIの運用ルールの策定・文書化やリスク管理の手法が体系的にまとめられています。

まずは、請求書処理や経費精算など効果を測定しやすい業務からガイドラインを整備し、段階的に適用範囲を広げていくとよいでしょう。

参考:テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン|IPA(独立行政法人情報処理推進機構)[PDF]

生成AIの特徴を理解し、経理・会計業務に活用しよう

生成AIは、適切に活用すれば会計・経理業務の生産性向上に役立つ有効なツールとして、今後も活用が広がるでしょう。

しかし、その利用には機密情報の管理や誤情報リスクへの対応など注意すべき点もあります。社内ガイドラインの整備と人によるチェック体制を前提とした運用を徹底し、リスクをコントロールしながら活用を進めていくことが重要です。

ICSパートナーズの会計システム「OPEN21 SIAS」では、「Accountech」というコンセプトのもと、会計(アカウンティング)と技術(テクノロジー)の融合に取り組んでいます。

  • AccountechRPA
    伝票入力や帳票出力、仕訳データのエクスポートなど、経理部門の定型業務をロボットで自動化するツールです。経理業務向けのロボットがあらかじめ用意されているため、シナリオをドラッグ&ドロップで設計でき、スモールスタートでの導入にも適しています。
  • AccountechOCR
    フォーマットが異なる請求書をAIで自動読み取りする入力支援ツールです。レイアウトや文字サイズ、文言といった情報をAIが学習し、必要な項目を自動で抽出します。

経理業務の自動化や効率化についてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。