• 2026.05.08
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RPAとAIの違いとは?
組み合わせるメリットや経理業務での活用例を解説

RPAとAIの違いとは?組み合わせるメリットや経理業務での活用例を解説

業務効率化やDXがすすむなかで、経理・会計部門の定型業務を見直す動きが広がっています。その文脈でよく登場するのが「RPA」と「AI」という2つのキーワードです。

どちらも業務の自動化に関わる技術ですが、それぞれの役割や得意領域は異なります。違いを十分に理解しないまま導入を進めると、思ったような効果が得られないこともあります。

本記事では、RPAとAIの違いを整理し、それぞれが向いている業務、組み合わせるメリット、経理業務での活用例までをわかりやすく解説します。

目次

RPAとは

RPAとは、Robotic Process Automationの略で、人が行っているパソコン上の定型操作を自動化するソフトウェアです。人間がマウスやキーボードで行う操作手順をシナリオとして記録し、ソフトウェアロボットがそれを再現します。定型作業に強く、高速かつ正確に処理できるのが特徴です。

一方で、あくまでルール通りに動く仕組みのため、イレギュラーな対応や状況に応じた判断が求められる業務には向いていません。

RPAツールは、大きく3つのタイプがあります。個人のPC上で動作する「デスクトップ型」、社内サーバーで複数のロボットを一括管理する「サーバー型」、インターネット経由で利用できる「クラウド型」で、それぞれ異なる特徴があります。

RPAについては、「RPAで経理・会計業務の効率化を!導入メリットや活用のポイントを紹介」で詳しく解説しています。

AI(人工知能)とは

AIとは、Artificial Intelligenceの略で、人の判断や認識をコンピュータで再現する技術です。大量のデータからパターンを学習し、その結果をもとに予測や分類、認識といった処理を行います。非定型業務にも対応できる点が特徴です。

一方で、精度を高めるには、大量の学習データの準備やモデルの調整が必要となります。

AIは、大きく「特化型AI」と「汎用型AI」に分けられます。

特化型AIは、画像認識や音声認識、需要予測など特定のタスクに特化したAIです。現在実用化されているAIの多くを占めます。一方、汎用型AIは、人間のように幅広い知的作業に対応できるAIを指します。さまざまな課題に柔軟に対応できる点が特徴です。

また近年では、ChatGPTに代表される生成AIが急速に普及しています。文章作成や要約、翻訳、コード生成など幅広い作業に対応でき、業務への応用も進んでいます。生成AIを組み込んだSaaSサービスも多数登場しており、専門知識がなくても導入しやすい環境が整いつつあります。

RPAとAIの違い

RPAとAIはどちらも業務の効率化に関わる技術ですが、役割や得意領域は明確に異なります。ここでは3つの観点から違いを整理します。

得意な業務の違い

RPAが得意なのは、手順が決まっている反復業務です。データの転記、帳票の作成、定型メールの送信など、毎回同じ手順で進む作業を高速かつ正確に処理します。

一方、AIは非定型な業務に向いており、手書き文字の認識、画像の分類、需要予測など、これまで人間の判断が必要とされてきた作業に適しています。

導入難易度の違い

RPAは、比較的導入のハードルが低い技術です。操作を記録するだけで自動化できるノーコード製品も多く、数週間で稼働開始できるケースもあります。

一方、AIは学習データの収集・整備やモデルの構築・チューニングが必要なため、導入にはある程度の時間が必要です。

コストの違い

RPAは月額数万円〜数十万円程度で導入できるサービスが多く、比較的導入コストは抑えられます。AIは開発やカスタマイズの費用が加わるため、初期費用が高額になる傾向があります。ただし、近年増えている生成AI搭載型のSaaSサービスを活用することで、大規模な初期投資をせずにAIを業務に取り入れることも可能です。

RPA・AIそれぞれが向いている業務

ここまでの違いを踏まえ、RPAとAIそれぞれが向いている業務を具体的に紹介します。

RPAが向いている業務

手順が明確でルールが固定されている場合は、RPAが適しています。たとえば以下のような業務が該当します。

  • 毎月の請求データを会計ソフトに入力する
  • 取引先ごとにフォーマットの異なる帳票を作成する
  • 基幹システム間でデータを連携する
  • 定型のレポートを作成してメールで送信する

定型作業が多い経理・会計業務は、特にRPAとの相性が良い領域で、RPAによる効率化が期待できます。

経理部門の業務効率化については、「経理の無駄な作業を徹底排除!効率化のための3つの方法や成功事例を紹介」で詳しく解説しています。

なお、データ連携については、RPAのほかにもデータ連携に特化した専用ツールを活用する方法もあります。

データ連携ツールについては、「データ連携ツールとは?機能や種類、選定時のポイントをわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

AIが向いている業務

判断を伴う作業や、大量のデータを扱う場合には、AIの活用が有効です。たとえば以下のような業務が該当します。

  • 手書きやフォーマットがバラバラな書類から情報を抽出する
  • 過去の売上データから需要を予測する
  • 大量の契約書から重要な条項を自動で抽出する
  • 取引データの中から異常値を検知する

RPAとAIを組み合わせるメリット

実際の業務では、定型と非定型が混在するケースも少なくありません。

たとえば、経理業務においては、手書きやフォーマットがバラバラな書類を読み取る作業(非定型)と、読み取ったデータを会計システムに入力する作業(定型)が一連の流れとして存在します。

こうした業務に対しては、RPAとAIを組み合わせて活用するのが効果的です。両者を連携させることで、従来のRPA単体では対応が難しかった業務まで自動化の範囲が広がり、業務プロセス全体の効率化が期待できます。

RPAの自動化レベル

RPAには自動化レベルにより、3クラスに分類されます。

名称 概要 具体例
クラス1 RPA(Robotic Process Automation) 定型業務の自動化 Excel操作、データ取得・入力など
クラス2 EPA(Enhanced Process Automation) RPA+AIで非定型業務にも対応 AI-OCRによる文字認識、自然言語処理による問い合わせ解析など
クラス3 CA(Cognitive Automation) AIが自律的に意思決定・業務改善 自律的なプロセスの分析や改善、意思決定

現時点では、クラス1のRPAツールが主流ですが、近年はクラス2に相当するAIと組み合わせた活用も広がりつつあります。

参考:総務省|情報通信統計データベース|RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)

経理・会計業務におけるRPA・AIの組み合わせ活用例

ここからは、RPAとAIを組み合わせた具体的な活用例を紹介します。

活用例1:RPA × AI-OCR

AI-OCRは、画像やスキャンされた書類の文字をテキストデータに変換する技術です。RPAと組み合わせることで、紙の書類を起点とした業務プロセスを自動化できます。

たとえば、請求書や注文書をAI-OCRで読み取るだけで、会計システムへ自動反映できます。これにより、入力やダブルチェック、修正といった一連の作業の工数を削減できます。紙書類が多く残る現場では特に効果が出やすく、金融機関や自治体などで導入が進んでいます。

活用例2:RPA × 対話型AI

対話型AI(チャットボット)は、ユーザーからの質問に対して自動で回答する仕組みです。RPAと組み合わせることで、問い合わせ対応から業務処理までを一貫して自動化できます。

たとえば、経費精算に関する問い合わせに対してAIが回答し、申請処理はRPAが実行します。「交通費の申請方法は?」「領収書の提出先はどこ?」といった定型的な問い合わせを自動化することで、経理担当者はより優先度の高い業務に集中できるようになります。

活用例3:RPA × AI画像認識

AIによる予測・異常検知は、大量のデータの中から通常とは異なるパターンを自動で検出する技術です。RPAと組み合わせることで、検知から対応までの一連の流れを自動化できます。

たとえば、過去の取引データをAIが学習し、金額や取引先、頻度などの観点から不自然な支払いや入力ミスの可能性がある取引を自動で検出します。異常が見つかった場合は、RPAが担当者へのアラート通知や該当データの一時保留といった一次対応を実行します。

従来は担当者が目視で確認していたチェック作業を自動化できるため、見落としのリスクを減らしながら、内部統制の強化にもつながります。

経理業務のAI活用については、「経理業務のAI活用とは?メリット・具体例・導入ステップ・注意点を解説」で詳しく解説しています。

RPA・AI活用のポイント

RPAやAIは導入すればすぐに成果が出るというものではありません。事前に押さえるべきポイントを紹介します。

「導入して終わり」にしない

RPAのシナリオは、業務ルールやシステムの仕様変更に合わせてメンテナンスが必要です。担当者が異動して誰もシナリオの中身を把握していない、という状態になると、エラー発生時に対応できなくなります。運用・保守の体制まで含めて設計しておくことが大切です。

スモールスタートで始める

RPAとAIは「どちらを選ぶか」ではなく、それぞれの特長を理解したうえで使い分け、さらには組み合わせることで最大限の効果を発揮します。導入を検討する際は、いきなり大きく始めるのではなく、自動化しやすい業務を1つ選んでスモールスタートするのがおすすめです。

RPA・AI活用のカギは、違いの理解と使い分け

RPAとAIは「どちらを選ぶか」ではなく、それぞれの特徴を理解したうえで使い分け、さらには組み合わせることで効果を高めることができます。

たとえば経理・会計業務では、まずRPAで伝票入力などの定型業務を自動化し、さらにAI-OCRによるデータの自動読み取りを組み合わせるといった方法が考えられます。導入を検討する際は、自動化しやすい業務を1つ選んでスモールスタートするとよいでしょう。

ICSパートナーズの会計システム「OPEN21 SIAS」では、経理・会計業務に特化した自動化ツール「Accountech」を提供しています。

  • AccountechRPA
    伝票入力や帳票出力、仕訳データのエクスポートなど、経理部門の定型業務をロボットで自動化するツールです。経理業務向けのロボットがあらかじめ用意されているため、シナリオをドラッグ&ドロップで設計でき、スモールスタートでの導入にも適しています。
  • AccountechOCR
    フォーマットが異なる請求書をAIで自動読み取りする入力支援ツールです。レイアウトや文字サイズ、文言といった情報をAIが学習し、必要な項目を自動で抽出します。

経理業務の自動化や効率化についてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。