• 2026. 04.30
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令和8年度税制改正(2026年度)改正|
暮らし・働き方・企業活動はどう変わる?

令和8年度税制改正(2026年度)改正|暮らし・働き方・企業活動はどう変わる?

令和7年12月26日に閣議決定された令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、「年収の壁」178万円への引き上げをはじめ、住宅ローン控除の延長、こどもNISAの新設など、注目のポイントが数多く盛り込まれました。

本記事では、暮らし・働き方・企業活動にどう影響するか、主な改正のポイントをわかりやすく解説します。

※本記事の内容は、令和7年12月26日に閣議決定された「令和8年度税制改正大綱」に基づいています。今後の国会審議で内容が変更される可能性がありますので、最新情報は財務省の公式発表をご確認ください。

目次

令和8年度(2026年度)税制改正が注目される背景

2025年12月に公表された「令和8年度(2026年度)税制改正大綱」は、私たちの暮らしや働き方に直結する見直しが数多く盛り込まれたことから、近年でも特に注目度の高い内容となりました。
その背景には、長引く物価高により生活コストが上昇する一方で、「税の仕組みが実態に追いついていない」という課題があります。
また、「年収の壁」による働き控えが人手不足を深刻化させていたこともあり、その見直しや引き上げが大きな焦点となりました。
さらに、住宅ローン控除の延長やNISAの拡充、企業の設備投資を後押しする税制など、生活支援と経済成長の両立を図る政策が、色濃く反映された内容となっています。

参考:令和8年度税制改正の大綱の概要 : 財務省

【26年度税制改正】生活・暮らしに関わる改正

まず、生活や暮らしに直接かかわる改正について、みていきましょう。

「年収の壁」が103万円から178万円へ

今回の税制改正で最も注目されているのが、いわゆる「年収の壁」の引き上げです。

これまで、所得税がかかり始める年収のラインは103万円でした。2025年分からはすでに160万円に引き上げられていましたが、2026年分からはさらに引き上げられ、178万円まで所得税がかからなくなります。

ただし、注意が必要なのは、この「178万円の壁」はあくまで所得税に関するものだという点です。社会保険料の扶養基準(106万円・130万円)は別の制度ですので、「178万円まで何の負担もない」というわけではありません。とはいえ、年収を気にして働く時間を減らしていた方にとっては、選択の幅が大きく広がる改正といえます。

【ここがポイント】

この改正はパートやアルバイトの方だけでなく、すべての給与所得者に影響します。正社員の方にも、年収に応じた減税効果があります。

住宅ローン控除が5年延長 ── 省エネ住宅と中古住宅に追い風

住宅ローンを利用してマイホームを購入した際に所得税などが減額される「住宅ローン控除」は、2025年末だった適用期限が2030年末まで5年間延長されました。住宅購入を検討している方にとっては、引き続き活用できる安心材料です。

今回の改正では、とくに中古住宅と省エネ住宅への支援が手厚くなっています。住宅価格の上昇を受け、環境性能を満たした中古住宅の控除枠が拡大されたほか、面積要件の緩和なども盛り込まれました。これから住宅購入を考える方は、物件の省エネ性能にも注目しておくとよいかもしれません。

NISAが子どもでも利用可能に

NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益に税金がかからなくなる制度です。これまでは18歳以上が対象でしたが、今回の改正で0歳から17歳の子どもでもNISA口座を開設できるようになります。2027年以降の適用が予定されています。

子ども向けのNISAでは、つみたて投資枠に限り、年間60万円まで投資でき、非課税で保有できる上限は600万円に設定されています。かつてのジュニアNISAは、「18歳まで引き出せない」という制限がネックとなり利用が伸び悩みました。今回の制度では、12歳以降であれば子どもの同意のもとで教育費・生活費などのために引き出すことも可能になります。

「子どもが小さいうちからコツコツ積み立てて、大学進学や将来のライフイベントに備える」といった長期的な資産形成を国として後押しする狙いがあります。親や祖父母が子どもの名義で投資を始められるため、「家族での資産づくり」の選択肢が広がったといえるでしょう。

【ここがポイント】

子ども名義の口座への資金は親や祖父母からの贈与にあたるため、年間110万円の贈与税の基礎控除を超えないかどうかの確認が必要です。また、18歳になると自動的に成人向けのNISA制度に移行します。

【26年度税制改正】企業活動に影響する改正

次に、企業活動に関する改正を紹介します。

大規模な設備投資を後押しする新しい税制の創設

「強い経済」の実現を掲げる今回の改正では、企業の国内投資を促すための新たな税制も設けられました。一定の要件を満たす大規模な設備投資を行った場合、投資額の全額をその年の経費として計上できる「即時償却」か、投資額の一定割合を税額から差し引ける「税額控除」のどちらかを選択できる制度です。

対象となるのは、投資計画に記載された設備の取得価額合計が35億円以上(中小企業は5億円以上)のケースで、DX(デジタル化)やAI活用など生産性向上につながる設備投資が想定されています。大企業だけでなく、中小企業にも門戸が開かれている点が特徴です。

国内への投資を促し、雇用を生み出し、経済を活性化させる、という政策の方向性が色濃く反映された改正です。

賃上げ促進税制は企業規模で対応がわかれる

従業員の給与を引き上げた企業に対する減税措置(賃上げ促進税制)は、大企業向けは2026年3月末で廃止、中堅企業向けも2027年3月末で廃止の方向です。

一方、中小企業向けは人手不足への配慮から、同制度の適用は継続されます。物価高のなかで賃上げが求められる一方、制度の見直しも進んでいるという状況です。

【26年度税制改正】注目度の高いその他の改正

このほかにも、いくつか注目すべき改正があります。

高所得者への課税強化も進む

税負担の公平性の観点から、超高所得者(個人)への課税も強化されます。年間所得が一定の水準を超える個人に対して、追加の税負担を求める「ミニマムタックス」の適用基準が引き下げられ、対象範囲が拡大される見込みです。

NISAの拡充など資産形成を後押しする一方で、高所得層には相応の負担を求めるという、バランスを意識した改正といえます。

暗号資産(仮想通貨)の税率が大幅に変わる見込み

暗号資産(仮想通貨)の税制では、これまで最大55%の税率がかかっていた利益に対して、株式投資と同様の20%の分離課税が適用される見込みです。

損失の繰越控除(3年間)も可能になり、暗号資産で投資を行っている方にとっては大きな変化です。ただし、適用開始は金融商品取引法の改正後となるため、実際の施行は2028年以降になると見られています。

消費税・国際課税の適正化

消費税関連では、インボイス制度の経過措置の一部見直しや、海外からの電子商取引(越境EC)への課税適正化が進むほか、国際観光旅客税の引き上げも予定されています。

  • インボイス制度の経過措置が一部見直し

「2割特例」の終了後も、対象となる個人事業者は令和9年・10年分の2年間に限り納税額を売上税額の3割とできる措置が設けられます。免税事業者からの仕入税額控除の経過措置は適用期限が2年延長される一方、控除割合は段階的に引き下げられる見込みです。あわせて、1免税事業者ごとの年間適用上限仕入額も、現行の10億円から1億円に縮小されます。

  • 国境を越えた電子商取引(越境EC)に係る課税の見直し

これまで非課税だった1万円以下の少額輸入貨物が新たに課税対象となるほか、プラットフォーム事業者に消費税の納税義務を課す仕組みが導入される予定です。

  • 国際観光旅客税の引き上げ

日本を出国する際にかかる国際観光旅客税が、1,000円から3,000円に引き上げられる予定です。2026年7月1日から適用され、航空券や船舶の運賃に上乗せされる形で徴収されます。

26年度税制改正のテーマは「生活支援」と「経済成長」

今回の税制改正を俯瞰すると、2つの大きな柱が浮かび上がります。

ひとつは「物価高への対応」です。年収の壁の引き上げにより働く人の手取りを増やし、住宅ローン控除の延長で住まいの負担を軽減する。生活に直結する部分で、国民の負担感を和らげようとする姿勢がうかがえます。もうひとつは「成長投資の後押し」です。NISAの拡充で家庭の資産形成を支援し、設備投資促進税制で企業の国内投資を促す。日本経済の底力を強化しようという意図が読み取れます。

制度の詳細は今後の法案審議や施行時期によって変わる可能性もあります。最新の情報は国税庁や財務省のWebサイトでご確認ください。また、ご自身に関わる内容については、税理士などの専門家にご相談されることをおすすめします。

※本コラムの内容は、令和8年度税制改正大綱(令和7年12月26日閣議決定)に基づくものであり、今後の法案審議の過程で内容が変更される場合があります。

※税務に関する個別のご判断は、必ず税理士等の専門家にご相談ください。