• 2025. 09. 12
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予実管理システムで何ができる?
導入のメリット・デメリット、選び方を解説

予実管理システムで何ができる?導入のメリット・デメリット、選び方を解説

Excelでの予実管理には、データ統合に時間がかかる、計算ミスが心配、リアルタイムな経営判断ができないといった課題がつきものです。予実管理システムは、これらの課題を解決し、経営判断の精度とスピードを飛躍的に向上させる強力なツールです。本記事では、予実管理システムの基本機能から導入のメリット・デメリット、選定のポイントまで詳しく解説します。

目次

予実管理システムとは

予実管理とは、「予算」と「実績」の差を把握・分析し、経営判断に活かすための管理手法です。事前に立てた予算に対して、実際の業績がどの程度達成されているかを定期的に確認し、差異の原因を分析して今後の対策につなげていきます。 こうした予実管理の業務は、これまでExcelを使って手作業で行われることが多く、時間と労力がかかっていました。そこで登場したのが予実管理システムです。 このシステムを導入することで、予算の策定、実績データの集計、差異の分析といった一連の業務を自動化・効率化し、より精度の高い経営管理を実現できます。

予実管理については、「予実管理とは?必要性や手順、成功のためのポイント、注意点まで徹底解説」で詳しく解説しています。

予実管理システムが注目される理由

Excelを使った予実管理は、導入しやすく自由にカスタマイズできる点で重宝されてきました。しかし企業が成長し扱うデータが増えてくると、複数の部署からデータを集約する作業が煩雑になり、計算ミスのリスクも高まるという問題が生じます。また、リアルタイムでの状況把握が困難になるという課題も浮上します。こうした背景から、経理DXによる業務効率化が強く求められるようになりました。さらに、勘や経験に頼らず正確なデータに基づく「データドリブン経営」への関心も高まっています。これらの背景から、リアルタイムでの予実把握と高精度な分析を実現する予実管理システムの導入が、多くの企業で注目されています。

経理DXやデータドリブン経営については、下記の記事で詳しく解説しています。

予実管理システムの主な機能

予実管理システムは何ができるのでしょうか。ここでは、代表的な3つの機能を紹介します。

予算策定機能

過去の実績データをもとにした予算の自動計算や、複数のシナリオに基づく予算シミュレーションが可能です。部門別、商品別、地域別など多次元での予算設定に対応し、承認フローも組み込まれているため、組織の承認体系に沿った予算確定プロセスを自動化できます。

予算策定については、「予算策定の重要性って?流れと効果的に進めるポイントを解説」で詳しく解説しています。

実績データ集計機能

各種システム・ツールから自動的にデータを取得し、リアルタイムで実績値を更新します。売上データ、費用データ、人件費データなど財務に関わる全ての実績データを統合し、予算と同じ科目体系で整理するため、正確な対比分析が可能です。

データ統合については、「データ統合とは?効果や具体的な3つの方法、進め方までを幅広く解説」で詳しく解説しています。

差異分析機能

予算と実績の差異を自動計算し、視覚的なグラフやダッシュボードで表示します。差異の大きい項目のハイライト表示や前年同期比較なども自動で行われます。差異要因の分解(価格要因、数量要因など)も実行できる高度なシステムもあり、業績管理の精度を高めることができます。

業績管理については、「業績管理のポイントと流れ!KPI・KGIやPDCAサイクルなどが重要」で詳しく解説しています。

予実管理システム導入のメリット

予実管理システムの導入によるメリットは、以下の通りです。

データ集計の効率化

予実管理システムの導入により、予算策定・実績集計・差異分析の一連のプロセスが自動化されます。従来手作業で行っていた計算やデータ転記が不要になるため、作業時間を大幅に削減できます。同時に、人的ミスによる計算エラーやデータの不整合も解消され、より精度の高い予実管理が実現します。

リアルタイムでの進捗把握

システムによるリアルタイムデータ更新により、予実の乖離や進捗状況を即座に確認できます。月末の締め作業を待つことなく、売上や費用の動向を把握できるため、問題の早期発見と迅速な改善アクションが可能になります。これにより、経営判断のスピードが格段に向上し、市場変化への対応力が強化されます。

データの一元管理によるガバナンス強化

予実管理システムでは、全社のデータが一元的に管理され、部門横断で整合性のある情報共有が実現します。データの変更履歴や承認フローが自動記録されるため、内部統制の強化にもつながります。監査対応時には、必要な資料を迅速に提出でき、ガバナンス体制の向上に大きく貢献するでしょう。

データの一元管理については、「一元管理とは?メリット・デメリットを知り経営の効率化に活かそう!」で詳しく解説しています。

予実管理システム導入のデメリット

予実管理システムの導入にはメリットがある反面、次のデメリットも考慮する必要があります。

導入・運用コストの発生

予実管理システムの導入には、ライセンス費用やカスタマイズ費用、研修費用などの初期投資が必要になります。さらに、月額利用料や保守費用、システム更新費用などの継続的なランニングコストも発生します。システムの規模や機能によっては相応の費用となるため、投資回収までの期間を慎重に検討する必要があり、資金計画への影響も考慮しなければなりません。

操作習得の負担

多機能なシステムほど操作が複雑になり、Excel に慣れた現場担当者にとって習得が困難になる場合があります。新しい操作方法を覚える負担や、慣れ親しんだ業務フローの変更への抵抗感が生まれやすく、導入初期には生産性が一時的に低下するリスクがあります。

予実管理システム選定の7つのポイント

予実管理システムをスムーズに導入するためには、自社にあったシステムを選定する必要があります。次のポイントで比較検討しましょう。

1. 自社に必要な機能が備わっているか

管理粒度(部門別・プロジェクト別など)、予算策定の柔軟性(複数パターン、期中修正)、差異分析の深掘り(要因分析の粒度)、リアルタイム可視化(ダッシュボード・グラフ)など、自社の業務にマッチする機能が揃っているかを確認しましょう。過不足のない機能選択により、無駄なコストを避けることができます。

2. 拡張性・スケーラビリティ

事業成長や組織変更に応じて管理対象の追加・変更がしやすいかを確認する必要があります。多拠点・多通貨・複数事業の管理に対応しているかも重要なポイントです。将来的な事業拡大を見据えて、柔軟にスケールアップできるシステムを選択するといいでしょう。

3. 既存システムとの連携性

会計ソフト、ERP、販売管理システムなどとのスムーズな連携が可能かを確認しましょう。APIやCSVインポートの柔軟性もポイントとなります。手作業でのデータ転記を削減し、リアルタイムでの情報統合を実現するためには、既存システムとの親和性が不可欠です。

4. 操作性

現場担当者も使いやすい操作性があるかを必ず確認しましょう。マニュアルがなくても直感的に操作できるUIが望ましく、Excel に慣れた担当者でも抵抗なく移行できる製品を選ぶことが重要です。無料トライアルを活用して、実際の業務フローで操作感を確認することをおすすめします。

5. 導入・運用コストの妥当性

初期費用や月額費用に加え、運用体制の構築や教育にかかる工数も含めて総合的に判断が必要です。現状のExcel運用にかかる人件費と比較し、システム導入による工数削減効果を定量的に評価しましょう。クラウド型のシステムの場合、初期負担を抑えやすく、利用規模に応じてコストを調整可能です。保守・更新対応も不要となり、運用面の負荷軽減が期待できます。

6. セキュリティ対策への対応

機密性の高い財務データを扱うため、セキュリティ基準が自社の要求水準を満たしているかを慎重に評価しましょう。また、部署・役職ごとに閲覧・編集範囲を細かく設定できるかを確認する必要があります。クラウド型の場合は通信の暗号化や二要素認証の有無も重要なポイントです。

7. サポート体制の充実度

初期設定やマスタ登録支援、運用後の問い合わせ対応の品質・スピードなど、長期的に安心して使える支援体制があるかを確認しましょう。特に導入初期は手厚いサポートが必要になるため、ベンダーの体制やサポート実績を事前に調査することが重要です。

自社に合った予実管理システムで経営判断の高度化を

予実管理システムは、従来のExcel管理では実現できない業務効率化と経営判断の高速化を可能にする強力なツールです。システム選定にあたっては、複数のポイントから慎重な検討が必要です。

ICSパートナーズでは、お客様のシステム環境や業務課題に応じて、「OPEN21 SIAS」や「予算管理 fusion_place ソリューション」など、最適な経営データ統合ソリューションをご提案しています。

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