• 2017. 07. 12
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平成29年度 税制改正のポイント

デロイト トーマツ税理士法人
藤澤 文太  /  間中 春樹

(4) 組織再編税制関係の改正

組織再編税制では、経営戦略に基づく先を見据えたスピード感のある事業再編等を加速するため、特定事業を切り出して独立会社とするスピンオフ等の円滑な実施を可能とする税制の整備が行われました。本稿では、スピンオフ税制、スクイーズアウトについての課税関係の整備のうち、主要なものについてのみ簡単に説明します。

① スピンオフ税制

特定事業を切り出して独立会社とするスピンオフを行う際に、事業継続などの税制適格要件を満たす場合、スピンオフを行う会社への譲渡損益や株主への配当についての課税が繰り延べられることとなりました。

適格分割の範囲の追加
適格分割の範囲の追加

適格分割の範囲に、分割法人が行っていた事業の一部をその分割型分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割として次の要件に該当するものが追加されました。

税制適格要件
① 分割に伴って分割法人の株主の持株数に応じて分割承継法人の株式のみが交付されること
② 分割法人が分割前に他の者による支配関係がないものであり、分割承継法人が分割後に継続して他の者による支配関係がないことが見込まれていること
③ 分割法人の分割事業の主要な資産及び負債が分割承継法人に移転していること
④ 分割法人の分割事業の従業者のおおむね80%以上が分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること
⑤ 分割法人の分割事業が分割承継法人において引き続き行われることが見込まれていること
⑥ 分割法人の役員又は重要な使用人が分割承継法人の特定役員となることが見込まれていること
適用時期
平成29年4月1日以後に行われる分割について適用されます。

この他、100%子法人株式の株式分配についても、100%グループを一体として捉えれば新設分割型分割と似た経済効果があるため、一定の要件を満たした場合には適格現物分配として取り扱われることとなりました。

適用時期は、上記適格分割と同様に、平成29年4月1日以後に行われる株式分配について適用されます。

② スクイーズアウト

スクイーズアウトとは、TOB(株式公開買い付け)により対象会社株式の2/3以上を取得した後で、少数株主から強制的に株式を取得し、対象会社を100%子会社化する行為を指します。

スクイーズアウトにおける課税上の取扱いについて、全部取得条項付種類株式等によるスクイーズアウトを組織再編税制の対象とするとともに、2/3以上を保有する場合に少数株主への金銭対価を交付しても税制適格要件を満たすことができるよう改正されました。

適用時期
平成29年10月1日以後に実施される組織再編成について適用されます。

③ 営業権及び資産調整勘定/負債調整勘定の償却方法の見直し

営業権の償却方法について、改正前は事業年度の中途において取得したとしても月割計算を行わないこととされていましたが、これを改正し、取得年度の償却限度額の計算上、月割計算を行うこととなりました。

これは、非適格組織再編や事業譲渡において認識される、資産調整勘定及び負債調整勘定についても同様となります。

適用時期
平成29年4月1日以後に取得する営業権、平成29年4月1日以後に行われる非適格合併等について適用されます。