• 2016. 08. 22
  • 税制改正ポイント

平成28年度 税制改正のポイント

デロイト トーマツ税理士法人
渡辺 寛己

(1) 法人税率の引下げ

法人実効税率を20%台まで引き下げることを目的として、法人税率を現行23.9%から、平成28年度には23.4%、さらに平成30年度には23.2%に引き下げることとされました。

区分 現行 改正後  
適用関係 平成27年度 平成28年度 平成30年度
(注) 年800万円以下の部分の軽減税率(15%)は、平成29年3月31日までに開始する各事業年度について適用することとされていますが、適用期限については平成29年度税制改正の際に再検討される可能性があります。
普通法人、人格のない社団等 中小法人(*1)、人格のない社団等 年800万以下の部分 15% 15% 19% (注)
年800万円超の部分 23.9% 23.4% 23.2%  
中小法人以外の法人 23.9% 23.4% 23.2%  
一般社団法人等、公益法人等とみなされているもの 年800万以下の部分 15% 15% 19% (注)
年800万円超の部分 23.9% 23.4% 23.2%  
公益法人等 年800万以下の部分 15% 15% 19% (注)
年800万円超の部分 19% 19% 19%  
協同組合等 年800万以下の部分 15% 15% 19% (注)
年800万円超の部分 19% 19% 19%  
特定の協同組合等の年10億円超の部分 22% 22% 22%  
(*1)

中小法人とは、以下のいずれかの法人をいいます。

(イ)
  • ・普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額又は出資金の額が1億円以下であるもの
  • ・資本若しくは出資を有しないもの

ただし、次に掲げる法人を除きます。

  • (A) 保険業法に規定する相互会社(以下「相互会社」といいます。)
  • (B) 各事業年度終了の時において次に掲げる法人(以下「大法人」という。)との間に当該大法人による完全支配関係がある普通法人
    • (a) 資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人
    • (b) 相互会社及び保険業法に規定する外国相互会社
    • (c) 受託法人
  • (C) 同一の100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を直接または間接に保有されている法人
    ((B)の法人を除く)
  • (D) 投資法人
  • (E) 特定目的会社
  • (F) 受託法人
(ロ)
人格のない社団等
(ハ)
一般社団法人等((非営利型法人に該当する一般社団法人及び一般財団法人、公益社団法人及び公益財団法人)
適用時期
平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度については23.4%、平成30年4月1日以降に開始する事業年度より23.2%が適用されます。

(2) 実効税率の引下げ

上記(1)のとおり、法人税率は、平成28年度において現行23.9%から23.4%に引き下げられ、大法人向けの法人事業税所得割についても、下記(3)で後述する外形標準課税の拡大に合わせて、標準税率が平成28年度及び平成30年度以降にわたり段階的に引き下げられます。

これらにより、国税・地方税を通じた法人実効税率(現行32.11%)は、平成28年度に29.97%(▲2.14%)、平成30年度に29.74%(▲2.37%)となります。

    外形標準課税適用法人の場合(標準税率ベース)
税目 現行 改正後
平成27年度 平成28年度 平成30年度
法人税率 23.9% 23.4% 23.2%
法人住民税率(*1) 4.13% 4.05% 4.01%
法人事業税率(*2) 6.0% 3.6% 3.6%
法人実効税率 32.11% 29.97%(▲2.14%) 29.74% (▲2.37%)
(*1)
法人住民税率は、法人税率×(住民税率+地方法人税率)により計算した税率としています。
(*2)
法人事業税率は地方法人特別税を含み、外形標準課税の付加価値割及び資本割は含みません。