• 2026. 03.13
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内部統制の強化にワークフローシステムは効果的?
主な機能・選び方を解説

内部統制の強化にワークフローシステムは効果的?主な機能・選び方を解説

企業経営においては、健全な成長と社会的信頼を維持するうえで、内部統制の整備は欠かせない取り組みです。IPO(株式上場)を目指す企業や、企業の成長に伴って業務が複雑化する企業では、内部統制を適切に行う体制づくりが求められます。こうした取り組みを支える手段として、申請・承認業務を可視化するワークフローシステムが注目されています。

本記事では、内部統制の基本や課題を整理したうえで、申請・承認業務の整備に役立つワークフローシステムの考え方や、システム選定のポイントを解説します。

目次

内部統制とは?整備が必要な4つの目的

内部統制とは、業務を適正に行うために整備する社内ルールと運用体制のことです。承認プロセスや権限管理、証跡の保管などを通じて、ミスや不正を防ぎます。

内部統制の基本については、「内部統制とは?4つの目的と6つの基本的要素、評価・報告の手順を解説」で詳しく解説しています。

内部統制が求められる法的背景

日本では、会社法および金融商品取引法によって、一定規模以上の企業に内部統制の整備が義務付けられています。

1. 会社法における内部統制

会社法では、大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)の要件を満たす企業は、取締役会が内部統制システムの基本方針を決定することが求められます。

2. 金融商品取引法における内部統制

上場企業は、財務報告の信頼性を確保するための内部統制報告制度(J-SOX)への対応が義務付けられており、内部統制報告書を提出する必要があります。

IPOを目指す企業にとって、内部統制の運用状況は、監査法人や主幹事証券会社によって重点的に確認される事項であり、上場審査においても重要なポイントとなります。

内部統制を整備する4つの目的

内部統制は、以下の4つを目的として整備されます。

1.業務の有効性および効率性

企業の経営資源を適切に活用し、事業活動を効率的かつ効果的に遂行することを目指します。無駄な業務プロセスを削減し、生産性を高めることで、競争力のある組織を作ります。

具体的には、承認フローの最適化、業務の標準化、権限と責任の明確化などが含まれます。

2.財務報告の信頼性

株主や投資家、取引先などのステークホルダーに対して、正確で信頼性の高い財務情報を提供することを目的とします。

不正な会計処理や誤った財務報告は、企業の信用を大きく損ない、最悪の場合、上場廃止や経営破綻につながるリスクがあります。そのため、財務報告プロセスにおける適切なチェック体制の構築が重要です。

3.事業活動に係る法令の遵守

企業は、会社法、税法、労働法、個人情報保護法など、さまざまな法令を遵守しながら事業活動を行う必要があります。

コンプライアンス違反は、罰金や営業停止などの法的制裁だけでなく、企業のレピュテーション(評判)を著しく低下させます。法令遵守のための社内規程の整備と、それを確実に実行する体制が求められます。

4.資産の保全

企業の資産(現金、設備、知的財産、情報など)を不正使用や盗難、災害などから守ることを目的とします。

特に近年は、情報資産の保護が重要視されており、個人情報や機密情報の漏洩を防ぐための適切なアクセス権限管理や、データのバックアップ体制の構築が不可欠です。

内部統制における課題

デジタル化が進む一方で、申請・承認業務を紙やExcel、メールなどで運用している企業も少なくありません。その場合、内部統制の観点から次のような課題が生じやすくなります。

  • ・証跡が残りにくく、監査対応の負担が増える:紙の稟議書やExcel管理では、誰が・いつ・何を承認したかを追いにくく、証跡確認に時間がかかります。
  • ・承認ルールが複雑化すると、統制が形骸化しやすい:金額・部署・例外条件などの分岐が増えるほど運用が統一できず、ルール通りの承認が徹底しにくくなります。
  • ・部門ごとに運用が分かれ、全社統制が効きにくい:Excel・メール・紙など部門ごとに運用方法が統一されていない場合には、内部統制を全社で整備しにくくなります。

こうした課題を解決する方法として、ワークフローシステムの導入が有効な選択肢のひとつとなります。

なお、これらの課題は内部統制に限らず、経理業務でも共通して見られるものです。経理業務のデジタル化や効率化については、「経理DXが注目されている理由、メリットや進め方、役立つツールを解説」で詳しく解説しています。

内部統制にワークフローシステムが有効な3つの理由

ワークフローシステムが内部統制の強化に有効な理由は、次の3つです。

業務プロセスの可視化

申請から承認完了までの流れをシステム上で管理することで、承認者や承認順序が明確になります。部門ごとにバラバラだった承認方法を全社統一の基準で運用できるため、内部統制の一貫性が確保されます。

証跡管理・監査対応の効率化

申請・承認の履歴が自動で記録されるため、必要な証跡を確認しやすくなります。監査対応時の資料収集や確認作業を効率化でき、監査対応の負担軽減につながります。

意思決定スピードの向上

承認フローの進捗状況がリアルタイムで可視化されるため、どこで承認が滞っているかを即座に把握できます。自動通知やリマインド機能により、承認漏れ・遅延を防止でき、意思決定のスピード向上につながります。

ワークフローは単体でも効果がありますが、ERPや会計システムと連携することで、内部統制と業務効率をさらに高いレベルで両立できます。

ERPや会計システムについては、「ERPと会計システムの違いとは?最適なシステムを選ぶための基礎知識」で詳しく解説しています。

内部統制に役立つワークフローシステムの主な機能

内部統制強化に役立つワークフローシステムに搭載される主な機能を紹介します。

ログ・監査証跡機能

申請から承認までの操作履歴が記録され、後から追跡できる形で保存されます。監査時には条件を指定して証跡を抽出でき、確認作業の負担を軽減できます。

承認ルート自動設定機能

申請内容や金額に応じて承認ルートを自動で設定し、承認漏れや承認者の誤りを防ぎます。条件分岐や合議承認などにも対応でき、複雑な承認ルールでも運用を統一しやすくなります。

申請書フォームのカスタマイズ機能

稟議書や経費精算など業務に応じた申請フォームを設計できます。必須項目の設定や計算式の組み込みにより、入力漏れや記載ミスを防ぎやすくなります。

通知・リマインド機能

承認依頼や差し戻しなどのタイミングで通知を自動送信し、承認漏れを防ぎます。未承認案件へのリマインドにより、滞留の解消にもつながります。

システム連携機能

会計システムや経費精算システムなどと連携し、二重入力を削減できます。申請データを後続業務に活用でき、内部統制を保ちながら業務効率も高められます。

モバイル対応機能

外出先やリモートワーク環境でも申請・承認ができ、業務が滞りにくくなります。

内部統制ワークフローシステムの選定ポイント

内部統制強化にワークフローシステムを導入する際の選定ポイントは以下の通りです。

承認フローのカスタマイズ性

自社の承認ルールに柔軟に対応できるかを確認しましょう。金額による分岐、部署をまたぐ合議承認、役職や権限による自動振り分けなど、複雑な承認フローを設定できるかがポイントです。事前に自社の承認パターンを洗い出し、デモやトライアルで実際に設定できるか確認することをおすすめします。

監査対応機能の充実度

申請・承認の履歴が監査で必要な粒度で記録され、後から変更できない形で保全されるかを確認しましょう。あわせて、期間や申請種別などの条件で証跡を検索・抽出し、必要に応じてレポートとして出力できるかも重要です。データの保存期間が自社の運用や監査要件に合っているかも確認し、長期的に内部統制を維持できるシステムを選ぶ必要があります。

既存システムとの連携性

自社で利用するシステムとスムーズに連携できるかも重要なポイントです。API連携やCSV入出力などに対応しているか、連携にかかるコストや期間はどれくらいかを確認しましょう。データの二重入力や突合作業を削減でき、内部統制の効率化と精度向上につなげられます。

操作性の高さ

どれだけ高機能でも、現場の従業員が使いこなせなければ意味がありません。直感的に操作できるインターフェースか、迷わずに申請・承認ができるかなど、実際に利用する従業員の視点で評価しましょう。可能であれば複数部門でトライアルを行い、使い勝手を確認するとよいでしょう。

サポート体制の充実

導入時の設定支援、運用開始後のトラブル対応、システムアップデート時のサポートなど、ベンダーのサポート体制を確認しましょう。問い合わせ方法や対応時間、専任担当者の有無、訪問での直接サポートの可否など、自社の運用体制に合った支援が受けられるかを確認することが重要です。

内部統制の強化にワークフローシステムは効果的

内部統制の強化は、企業の健全な成長に欠かせない取り組みです。

従来の紙やExcelでの運用における課題を克服し、内部統制を強化する手段として有効なのがワークフローシステムの導入です。

導入・選定の際は、承認フローのカスタマイズ性や監査対応機能など、自社の運用要件を満たすかどうかを慎重に評価することが重要です。特に、会計システムをはじめとする既存システムとの連携性は見落とせないポイントです。

ICSパートナーズの会計システム「OPEN21 SIAS」はワークフローシステムを備えており、会計システムとの連携によって申請から支払い・仕訳計上までを一気通貫で処理できます。データ連携に優れたワークフローシステムを活用し、内部統制の強化と業務効率化を両立させたい企業は、ぜひ一度ご相談ください。