• 2025. 12.24
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【会計システムとの連携】
メリット・方法・導入ステップをわかりやすく解説

会計システムとの連携 メリット・方法・導入ステップをわかりやすく解説

会計業務の効率化や経営判断の迅速化を目指すなかで、会計システムを他業務システムとの連携について課題を感じる場面は少なくないでしょう。販売管理や経費精算など、部門ごとに導入されたシステム間でデータが分断されている状況では、手作業による集計や確認作業が日常的に発生し、業務負荷やミスのリスクが高まります。

特に、グループ企業全体の財務情報を統合・分析する立場の経理部門や経営企画部門にとって、会計システムの連携は単なる効率化にとどまらず、経営情報の精度とスピードを高める鍵となります。本記事では、会計システム連携の概要から連携方式の違い、具体的なメリット、導入ステップまでをわかりやすく解説します。

目次

会計システムとの連携不足による課題

多くの企業では、販売管理や経費精算、人事給与などの業務システムが個別に導入されており、各システム間でデータが自動連携されない場合には、以下のような課題が日常的に発生しています。

非効率なデータ処理作業

システム間が連携されていない場合、同じ内容を業務システムと会計システムの両方に入力したり、各システムからCSVファイルを出力してExcelで加工してから会計ソフトに取り込んだりする作業が発生します。データ形式の調整や勘定科目のマッピングなどの加工作業は専門知識を要し、経理部門の業務負荷が大きくなります。

複数拠点やグループ会社を抱える企業では、月末・決算期には業務が集中し、決算の早期化を阻む要因となっています。

経理部門の非効率な業務や決算早期化については、下記の記事で詳しく解説しています。

迅速な経営情報の把握が困難

各部門で管理している情報が独立し、いわゆる「サイロ化」した状態になっているため、全社的な経営情報を集約するには手作業での集計が必要となります。経営会議向けの財務レポートや部門別損益資料の作成に多くの時間を要し、会議の直前まで資料作成に追われる状況が続きます。結果として、経営層や経営企画部門がタイムリーに財務状況を把握できず、分析や戦略立案に十分な時間を割けないという課題が生じています。

サイロ化については、「サイロ化とは?発生する原因や問題、解消するための方法をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

会計システムに業務システムを連携するメリット

会計システムと他業務システムを連携することで次のようなメリットが得られます。

データ集計の効率化

システム間の自動連携により、手作業による転記や二重入力が不要になるため、入力ミスや情報の重複登録を防ぐことができます。修正対応や差戻しの手間が減り、経理担当者の心理的・時間的負荷が軽減されます。結果として、経理部門は単純作業から解放され、より高度な分析や戦略的業務に時間を割けるようになります。

経営情報の迅速な可視化

定期的にデータが自動連携されることで、仕訳入力や集計作業が不要になり、月次・四半期の決算スピードが大幅に向上します。複数部門・子会社のデータも統合的に把握できるため、全体の財務状況や業績を従来よりも迅速に確認できるようになり、経営層への報告や戦略立案、予実管理の精度が大きく向上します。全社的なデータ活用が促進され、データドリブン経営の実現につながるでしょう。

予実管理やデータドリブン経営については、下記の記事で詳しく解説しています。

会計システムと連携すべき主な業務システム

会計システムと連携するべき代表的な業務システムは以下の通りです。

販売管理システム

売上データや請求情報、入金状況などを管理するシステムです。会計システムと連携することで、売上計上や売掛金管理の仕訳を自動生成でき、請求書発行から入金消込、売上計上までの一連の流れを効率化できます。

経費精算システム

従業員が立て替えた交通費や接待費、消耗品費などの経費申請を管理するシステムです。申請内容を会計システムに自動連携することで、経費の仕訳データが自動生成され、手作業での入力や勘定科目の振り分け作業を削減できます。

人事給与システム

従業員の給与計算や社会保険料、賞与の管理を行うシステムです。会計システムと連携することで、給与支払いや法定福利費、預り金などの仕訳が自動作成され、毎月発生する給与関連の会計処理を省力化できます。

購買・在庫管理システム

仕入先からの発注や在庫の入出庫、棚卸情報を管理するシステムです。会計システムとの連携により、仕入計上や買掛金管理、棚卸資産の評価といった財務数値への反映が自動化され、原価管理の精度向上にもつながります。

会計システムに業務システムを連携する3つの方法

会計システムと他の業務システムを連携する方法には、主に次の3種類があります。

CSV連携

業務システムからデータをCSV形式でエクスポートし、加工してから会計システムにインポートする方法です。多くの会計ソフトがCSVインポート機能を標準搭載しているため、比較的容易に導入できます。ただし、CSVファイルのエクスポート・加工・インポートという作業が都度必要となるため、リアルタイム性が求められない場合や、取引量が少ない場合、まずは低コストで連携を試したい企業に向いています。

API連携

APIとは、異なるソフトウェア同士が自動的にデータをやり取りするための仕組みです。各業務システムが提供するAPIを利用して会計システムと連携すると、データが自動生成されるなど、リアルタイムでのデータ連携が可能になります。初期構築には技術的知識や開発コストが必要とあります。連携対象が多い場合や更新頻度の高い業務に向いています。

データ連携ツール(EAI・ETLなど)

業務システムと会計システムの間のデータ連携を仲介する専門ツールを活用する方法です。EAI(Enterprise Application Integration)やETL(Extract, Transform, Load)といったツールがあります。多くの場合、マウス操作で視覚的にシステム間の連携設定ができるため、プログラミング知識がなくてもノーコード/ローコードで複数の業務システムを会計システムに連携させることが可能です。

APIほど高度な開発は不要で、CSVよりも自動化度が高いため、システム統合に多く採用されています。

データ連携ツールやEAI・ETLについては、下記の記事で詳しく解説しています。

会計システム連携を進めるためのステップ

会計システム連携をスムーズに進めるためには、やみくもにシステム導入を検討するのではなく、事前準備と段階的な進行が重要です。

ステップ1:現状の業務課題を洗い出す

どの業務で手作業が多く発生しているか、どこに入力の重複やミスがあるかを部門ごとに整理します。経理部門だけでなく、営業や総務などの関連部門にもヒアリングを行い、システム連携によって解決すべき課題の優先順位を明確にします。この段階で優先して連携すべき業務プロセスを見極めることが、投資対効果の高い導入につながります。

ステップ2:対象システムとの連携方法を決める

会計システムや各業務システムが、どんな連携方法に対応しているかを確認します。システムのバージョンや提供ベンダーによって対応が異なるため、技術仕様書の確認やベンダーへの問い合わせも重要です。

その上で、洗い出した課題に対してどの連携方法が適しているかを検討し、自社の予算やIT人材のスキル、連携したいシステムの数などから総合的に判断して適切な連携方法を選定します。

ステップ3:段階的に導入を進める

一気に全業務をつなげようとせず、影響範囲の小さい業務から部分的に連携を始めるのが効果的です。例えば、まずは経費精算システムとの連携から着手し、運用が安定してから販売管理や給与システムへと段階的に拡張していきます。成果を示すことで社内の理解も得やすく、問題が発生した際の影響も最小限に抑えられます。

会計システム連携は効率化だけでなく経営判断の高度化にも不可欠

会計システムと他業務システムの連携は、経理・経営企画部門の業務を根本から効率化し、経営情報の質を高める大きな一歩となります。まずは、現状の業務フローや使用システムを見直し、優先度の高い業務から段階的に連携を進めていくことを検討しましょう。

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