債権管理システムとは?
種類やメリット、選定のポイントを解説
企業の健全な経営には、売掛金や受取手形などの債権を適切に管理し、確実に回収することが不可欠です。しかし、従来のExcelでの債権管理では、入金消込のミスや回収漏れ、督促業務の遅れといった課題が発生しがちです。債権管理システムは、こうした課題を解決し、債権の発生から回収までのプロセスを効率化・自動化できるシステムです。
本記事では、債権管理システムの概要やシステムの種類、メリット、選定時のポイントまで詳しく解説します。
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債権管理システムとは
債権管理システムは、企業が取引先に持つ売掛金や受取手形などの債権を、発生から回収まで一元的に管理するシステムです。
従来のExcelによる債権管理では、取引先の増加や業務の複雑化により、入金消込のミスや回収漏れ、担当者への属人化といった問題が起こりやすくなります。適切な管理ができなければ資金回収が遅れ、未回収リスクが高まり、資金繰りに悪影響を及ぼしかねません。
債権管理システムは、従来のこうした課題を解消しつつ、債権管理業務の自動化が可能なシステムです。導入によって、債権回収の効率化と資金繰りの改善が期待できます。
債権管理システムの種類
債権管理システムは、機能や対応範囲によって大きく3つのタイプに分類できます。
入金消込に特化した専用システム
入金消込業務の自動化に特化したシステムでは、振込人名や金額、請求番号をキーに自動で照合でき、業務負担を大幅に軽減します。システムによっては、表記ゆれや一括入金、振込手数料の差額なども考慮した高度な自動処理にも対応できます。
多くの場合、既存の会計システムや販売管理システムとの連携を前提とした独立型システムのため、現在の業務フローへの影響を抑えながら導入できます。
請求書発行システムに付帯する債権管理機能
請求書の作成・発行をメイン機能とし、債権管理機能が付帯されたシステムです。請求書発行から入金確認、消込作業まで一連の流れをひとつのシステムで完結できるため、請求業務全体を効率化できます。比較的シンプルな債権管理を求める中小企業や個人事業主に適しており、導入コストを抑えられる点も特徴です。
統合型システムの内蔵機能
ERPや販売管理システム、モジュール型会計システムの一機能として債権管理機能が提供されるタイプです。受注管理、在庫管理、売上管理、会計処理まで販売管理業務全般をカバーできるため、複数部門での業務統合を必要とする中堅・大企業に適しています。初期導入コストは比較的高水準となりますが、全社的な業務プロセスの見直しとあわせて検討することで、業務の標準化や効率化につながります。
ERPについて詳しくは、「ERPと会計システムの違いとは?最適なシステムを選ぶための基礎知識」で解説しています。
債権管理システム導入のメリット
債権管理システムの導入によって、次のようなメリットが得られます。
消込作業の効率化
消込作業が自動化されることで、これまで手作業で行っていた入金と請求の照合にかかる時間を短縮できます。すべての債権情報を一元管理できるため、転記ミスや計算ミスといった人的エラーも根本的に防止でき、経理担当者の作業負担を軽減します。
債権回収業務の効率化
入金予定日や支払遅延をシステムが検知し、担当者に通知することで、回収漏れや督促の遅れを未然に防ぎます。さらに、督促状の自動作成・送付機能により、督促対応を迅速に行えるため、回収スピードが向上にもつながるでしょう。
拠点・部門間の情報共有強化
複数拠点や部門間の債権情報をリアルタイムで共有できるため、本社と支社間の情報伝達におけるタイムラグが解消されます。営業担当者も顧客の支払状況を即座に把握できるため、適切な与信判断や債権回収対応が可能となり、全社レベルでのリスク管理体制が強化されます。
こうした業務プロセスの改善は、経理DXの重要な取り組みのひとつでもあります。
経理DXについては、「経理DXが注目されている理由、メリットや進め方、役立つツールを解説」で詳しく解説しています。
債権管理システム選定のポイント
債権管理システム導入による効果を高めるためには、自社のニーズに合ったシステムを選ぶことが不可欠です。ここでは、システム選定時に重視すべきポイントを解説します。
業務要件との適合性
システムが自社の業務要件に適合するかを慎重に見極めることが重要です。振込手数料の自動調整や一括入金の処理、外貨建て取引など、自社特有の業務に対応できるかを必ず確認しましょう。また、事業成長に伴う取引先増加や利用者数の拡大にも対応できる拡張性があるかも重要な選定ポイントです。
既存システムとの連携性
現在利用している会計ソフトやERP、ネットバンキングとのデータ連携が可能かをあらかじめ確認しましょう。同一ベンダー製品は連携もスムーズにできますが、最近では異なるベンダー製品でもAPIやCSVに対応していれば連携しやすい場合もあります。二重入力を避け、業務を効率化するためにも、連携性の高いシステムを選ぶことが重要です。
導入・運用コスト
システム導入では、初期費用に目が向きがちですが、月額利用料や保守費用、カスタマイズ費用も含めたトータルコストで判断することが重要です。
債権管理システムは主にクラウド型とオンプレミス型に分かれ、それぞれ費用体系が異なります。クラウド型は初期費用を抑えて始められる一方、オンプレミス型は長期的な運用コストを抑えられる場合があります。自社のITリソースや運用方針を踏まえて、最適な提供形態を選択しましょう。
サポート体制
導入時の初期設定支援や運用開始後の問い合わせ対応、制度改正時のアップデート対応など、ベンダーによる支援体制の内容を確認しておきましょう。対応時間やサポート窓口の有無、マニュアルやFAQの充実度もチェックポイントです。特に初めてシステムを導入する企業では、手厚いサポート体制があることで安心して導入を進められます。
セキュリティ対策
債権情報には顧客の財務状況や取引履歴など、機密性の高いデータが含まれています。そのため、データの暗号化、不正アクセス防止機能、定期的なバックアップ体制、アクセス権限の管理機能など、十分なセキュリティ対策が講じられているかを必ず確認しましょう。
クラウド型システムの場合は、自社でサーバーを管理しないため、ベンダーのセキュリティ体制やデータセンターの安全性についても事前に確認することが重要です。
自社に適した債権管理システムを選定しよう
債権管理システムは、手作業による債権管理業務を大幅に効率化でき、導入のメリットが多いシステムです。自社の業務要件や既存システムとの適合性を慎重に評価し、長期的な視点でシステムを選択することが重要です。
こうした要件をバランスよく満たす選択肢のひとつが、ICSパートナーズの戦略情報会計システム「OPEN21 SIAS」です。債権管理システムがサブモジュールとして搭載されており、会計処理と連動した一元的な資金管理が可能です。債権管理の効率化をご検討の際は、ぜひICSパートナーズまでお気軽にご相談ください。