• 2019. 11. 20
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連結会計(決算)システムの導入で押さえておくべき
ポイントとは?!

連結会計システム導入のポイント

複数の子会社を有する上場企業に求められる連結会計(決算)。5社以下なら各子会社のデータをExcelなどで収集し、まとめあげることも可能でしょうが、さすがに20社30社以上になってくると、同じやり方でグループ内取引の漏れや不一致などを子会社に確認しながら消し込んでいくのは非現実的です。そこで登場するのが、連結会計(決算)処理を自動化・効率化してくれる連結会計(決算)システム(以下、連結パッケージ)です。では、連結パッケージを導入すればすべて解決するのか…というと、残念ながらそんなことはありません。子会社の会計データを収集し内容を確認、“正しいデータ”が用意できてからが連結パッケージの役割であって、そこに至る作業自体の負荷は、なんら低減されるわけではないのです。本コラムでは効率的な連結会計(決算)を実現するために、導入に先立ち検討すべきポイントについて一緒に考えてみましょう。

連結会計(決算)とは?個別会計(決算)との違いは?

連結会計(決算)とは、子会社を持つ企業(持ち株会社)が、個別会計(決算)だけでは見えてこないグループ全体の経営状態を公開するためのものです。連結会計(決算)を行う理由としては、透明性の確保による株主保護やグローバル企業などにおける迅速な経営判断といったニーズへの対応が挙げられます。

連結会計(決算)では、個別会計(決算)で作成される各社の財務諸表を合算して、グループ全体の連結財務諸表を作成することになりますが、グループ全体をひとつの事業体とみなして会計処理をするため、親会社と子会社、あるいは子会社間の内部取引は計上する必要がなくなります。このため、連結会計(決算)では、個別会計(決算)に含まれるこうした内部取引を消し込む作業(連結修正仕訳)が必要になり、このことが連結会計(決算)を難しくしています。

連結パッケージの多くは個別会計(決算)システムと連携して必要な情報を収集する機能を持ち、中には各社の会計情報の整合性をチェックしてくれるものもありますが、あくまで“正しい情報”を渡すことが重要で、それがあってはじめて会計基準に準拠した連結BS/PL/SS/CFおよびセグメントデータの効率作成に効果を発揮します。また、単年度の財務諸表にフォーカスした個別会計(決算)に対し、連結会計(決算)では経営トレンドを中長期で把握できることを重視しており、「未実現利益」など個別会計(決算)にはない会計処理を行う上でも連結パッケージは有効で、多くの企業で導入が進んでいます。

連結会計(決算)では、事前作業をいかに効率化するかがカギ

連結会計(決算)のアプローチは、子会社の社数によって2つに大別されます。子会社の数が5社前後の場合は、親会社がExcelなどで各社の情報を収集し、つきあわせをして各社に確認をとりながら整合性のあるデータを用意し、連結パッケージにそのデータを取り込むというアプローチで、規模によっては連結パッケージを使わずに連結会計(決算)をしている企業もあります。

一方、子会社数が20~30社になってくると、もはや上記のようなアプローチは困難になるため、連結パッケージを導入して個別会計(決算)システムから情報を自動収集するなどの対策が必要になりますが、情報収集は自動化できても内部取引に関する漏れや食い違いなどデータ整合性の問題は残ります。結局、各社に確認して正しい情報を整える大変な作業は解消できないまま…というケースも少なくないようです。

1000万円を軽く超えるような投資をして連結パッケージを導入したのに、事前作業の負荷があまり解消していない!というのは残念としかいいようがありません。そして、この問題の最大の要因とされるのが各社バラバラの個別会計(決算)システムです。子会社によって個別会計(決算)システムが異なりグループ会社に関する取引先コードも管理できていない、内部取引に関する計上方法も科目もバラバラというケースは意外に多く、これでは整合性のあるデータの収集は期待できません。

グループ統一会計で事前準備の負担を軽減

前段のような課題を抱える企業に検討いただきたいのが、統一会計化(個別会計(決算)システムの共通化)です。そもそも個別会計(決算)では、それぞれが自社の存続・発展に資することを目指して会計処理しており、グループ全体の利益は二の次となっています。このため、グループ内取引もそれぞれ独自の解釈で処理され、データをつきあわせた際にどうしても齟齬が発生してしまいます。また、鉄道グループなど、まったく異なる業種・業態の子会社を抱えるケースでは勘定科目が各社で異なるため、連結会計(決算)用に手動で振り分けし直す必要が出てきます。

グループ全体で個別会計(決算)システムを一本化し、親会社の方で管理することでこうした問題を解決できます。勘定科目を決算で公開できるものに統一。内部取引についても整合性を確保しやすくなり、連結パッケージとのよりスムーズな連携(データ取り込み)を実現します。このほか、子会社の管理会計が徹底され、連結会計(決算)にともなう親会社からの問い合わせ対応が減り、グループ間での意識摺合せがしやすくなるなど、子会社側のメリットも期待できます。

連結パッケージ連携を意識して統一会計を進める企業におススメなのが、財務会計システム専門ベンダのICSパートナーズ社が提供する戦略情報会計システム「OPEN21 SIAS」です。低価格での早期&安定稼働をウリとする同製品には、オプションとして『OPEN21 SIAS 連結決算支援ソリューション』が用意され、個別/連結会計(決算)の早期化を実現します。

子会社に意識させることなく連結の決算データ作成が可能

OPEN21 SIAS 連結決算支援ソリューションでは、下図のように子会社ごとに会計DBが用意され、グループ統一会計システムをシェアード型で提供します。本ソリューションが優れているのは、各子会社の会計処理に対し裏で科目変更登録などの連結処理が動き、各社は連結会計(決算)を意識することなく個別会計(決算)を進めるだけで“正しい連結の決算データ”を整えることができる点です。内部取引を可視化するツール(機能)によって、内部取引情報の漏れや食い違いが自動でエラー表示され、効率的な消込作業を支援してくれます。

メリットは親会社だけのものではありません。連結子会社への決算に関する親会社からの問い合わせ対応が減り、個別会計(決算)システムのハードウェアやソフトウェアの運用管理から解放され、親会社の管理下で管理会計の標準化が実現されるなど、子会社にとっても大きなメリットがあります。

OPEN21 SIAS 連結決算支援ソリューション

小規模で簡易的に、ガッツリ本格的に、どちらのアプローチも可能

OPEN21 SIAS 連結決算支援ソリューションでは、連結会計(決算)について2つのアプローチが可能です。1つは連結決算支援システムで連結財務諸表の元(連結試算表)を作成し、手作業で仕上げる簡易的連結決算のアプローチです。子会社の数が少なく、まだ連結パッケージを導入していない企業で、子会社の情報を収集して突合・消込する作業を自動化&効率化することができます。

もう1つは、連結決算連携システムで4つのデータ(個別財務、相手先別明細、セグメント別明細、資産増減明細)を連結パッケージに受け渡し、連結財務諸表を作成する本格的なアプローチです。こちらは子会社の数が多いケースや、すでに連結パッケージを導入していて事前作業の効率化を目指す企業で決算業務の効率化・早期化を実現します。