• 2019. 11. 20
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個別・連結決算早期化の実現に向けて、現場のボトルネックと解決策を解説

個別・連結決算早期化

決算業務は、投資家へのディスクロージャーや税務申告などの期限を守る上で不可欠です。さらに、自社の経営状況を分析しタイムリーな経営判断をするためには、決算を早期化する必要があります。しかし、決算早期化に取り組みたくても、何から始めるべきかわからないという方も多いのではないでしょうか。特に、複数の子会社を有する上場企業に求められる連結決算・連結会計(以下、連結決算)においては、会計システムの違いなどから、1つの決算書にまとめあげるには相当な手間がかかります。

そこで本コラムでは、決算が遅れる要因をひもとくとともに、決算早期化を実現させるためのポイントや、連結決算処理を自動化・効率化する連結決算システムについて解説します。

決算業務の早期化が求められる背景

決算の第1の目的は、様々な制度に対応することにあります。例えば、決算の2ヵ月後に迫る法人税の申告期限や、四半期終了後45日以内に四半期報告書を提出するといった制度に対応するには、正しい決算を行う必要があります。

しかし、決算の本来の目的は、「タイムリーな経営判断・分析」をすることにあります。自社の経営状況をいち早く把握し、意思決定に活かすことは、経営を取り巻く環境が目まぐるしく変化する昨今、重要性が高まり続けています。決算早期化の目的は、制度的な側面から、管理的な意味合いへと移行していると言えるでしょう。

決算早期化の阻害要因

決算業務を早期化するにあたっては、阻害要因を把握する必要があります。そこで、まずは企業ごとに財務諸表を作成する「個別決算」から考えてみましょう。今は、多くの企業が会計システムを導入していますが、システムによっては、手入力が多く、入力作業に時間がかかるといった問題が考えられます。また、そもそも各部門から請求書や領収書などの情報がきちんとあがってこないという問題も起こりがちです。

次に、「連結決算」における阻害要因です。連結決算とは、親会社と子会社など支配従属関係にあるグループ会社で、企業集団全体の財務諸表である連結財務諸表を作成することを指します。親会社は、単独で決算して財務諸表を作成し、次に子会社・関連会社を含めた決算に基づき、連結財務諸表を作成する必要があります。

連結決算においては、複数の企業の財務諸表を取りまとめるプロセスに阻害要因が存在します。親会社と子会社、あるいは子会社間の内部取引を消し込む作業が必要になりますが、子会社がそれぞれ異なる会計システムを用いている場合、合算・照合作業が複雑になります。特に連結決算システムを持たない場合、親会社がExcelなどで各社の情報を収集し、合算・照合作業を行うといったケースが見られますが、この場合、入力ミスのリスクや、作業の属人化といった問題も起きてしまいます。

連結決算システムを導入している企業であっても、やはり内部取引に関する漏れや食い違いなど、データ整合性の問題は残ります。例えば、子会社ごとに取引先コードや勘定科目の設定が異なる場合など、親会社と子会社で頻繁に連絡を取り合うことになるため、問題の解消に相当な時間が取られてしまうでしょう。

決算早期化の阻害要因

決算早期化を実現させるためのポイント

前段の阻害要因を踏まえて、解決するためのアプローチを検証してみましょう。連結決算が必要な企業でも、まず改善すべきは個別会計です。なぜなら、正確な個別決算は、連結決算の前提となるからです。かといって個別決算に時間をかけすぎると、連結決算の遅れに直結することから、正確性と迅速性の両方が求められます。

個別決算については、締め日の前倒しの余地がないか検討することが効果的です。決算業務に必要な日数を踏まえて、領収書や請求書などの提出期限を設定し、社内への周知を心がけるようにしましょう。さらに、決算業務を効率化する上では、証憑の電子化が役立ちます。請求書や領収書などを電子化することによって、部門間の情報連携がスムーズになるとともに、会計処理の検証にあたってもすぐにエビデンスを確認できるようになります。その結果、部門間での確認業務が大幅に減少し、事務の効率化につながります。

次に、連結決算の改善方法を検証してみましょう。問題の根本原因を解決する方法として、統一会計化(個別決算システムの共通化)をすることが考えられます。子会社の個別決算のシステムがバラバラだと、それぞれが自社のルールで会計処理を行っていたり、グループ内取引もそれぞれ独自の解釈で処理されることが多いため、グループ間でデータをつきあわせた際に、どうしても齟齬が発生してしまいます。また、まったく異なる業種・業態の子会社を抱えるケースでは、勘定科目が各社で異なるため、連結決算用に手動で振り分けし直す必要が出てきます。グループ全体で個別決算システムを一本化し、親会社の方で管理すれば、こうした問題を解決できるでしょう。

子会社に意識させることなく連結の決算データ作成を実現するシステム

連結決算システム連携を意識して統一会計を進める企業におススメなのが、ICSパートナーズが提供する戦略情報会計システム「OPEN21 SIAS」です。低価格での早期&安定稼働を強みとする同製品には、オプションとして『OPEN21 SIAS 連結決算支援ソリューション』が用意され、個別/連結決算の早期化を実現します。このシステムにより企業グループ統一会計が実現すれば、個別決算の精度が高まるほか、各社は連結決算を意識することなく個別決算を進めるだけで、“正しい連結の決算データ”を整えることができます。

また、OPEN21 SIASには、『OPEN21 SIAS ワークフローシステム』で入力した経費データを、そのまま会計処理や連結決算処理にも連携する機能が備わっています(下図参照)。仕訳データに、証憑のPDFデータやExcelなどの各種ファイルを紐づけることができ、仕訳データの数字からドリルダウンで内訳や稟議書、提案書などのファイルまで辿って確認することができます。

仕訳データの自動作成と関連ファイルの紐づけ機能を搭載

統一会計化を進めるにあたっては、システムの移行にハードルを感じるかもしれません。この点については、移行ツール「ICSデータコンバータ」が役立ちます。ICSデータコンバータは、これまで使っていた会計システムのデータを、OPEN21 SIAS向けに変換できるEAIツール。移行用のプログラムを開発しなくても、コンバータの設定をするだけでOPEN21 SIASに適した形にデータ変換されます。自社だけで移行作業を実行できるため、システム移行に関連する外注費のコスト削減効果も期待できます。

OPEN21 SIASは、ICSパートナーズが開発・提供・サポートまで一貫体制で手掛けるシステムです。全国にある5拠点にサポートメンバーも配置されているので、お客様のご要望に対してきめ細やかに、かつスピーディーに対応することができます。決算早期化の実現のために、統一会計化を検討してみてはいかがでしょうか。