大法人の電子申告義務化への対応

平成30年度(2018年度)税制改正により、一定の法人が行う法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税及び消費税(地方消費税含む)等の申告は、e-Tax※1・eLTAX※2による電子申告が義務化されました。今回の税制改正のポイントとICS会計システム OPEN21の対応概要をご紹介します。

  • ※1 e-Tax(イータックス)とは、申告などの国税に関する各種の手続きについて、インターネットを利用して電子的に手続きが行えるシステムです。
  • ※2 eLTAX(エルタックス)とは、地方税ポータルシステムの呼称で、地方税における手続きを、インターネットを利用して電子的に行うシステムです。

電子申告義務化について

対象税目
法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税、消費税、地方消費税
対象書類
申告書及び申告書に添付するべきものとされている書類全て
対象法人の範囲
① 内国法人のうち、事業年度開始の時において資本金の額等が1億円を超える法人
② 相互会社、投資法人及び特定目的会社
対象手続
確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書及び還付申告書
適用日
令和2年(2020年)4月1日以降に開始する事業年度(課税期間)から適用

(注)源泉徴収票や支払調書等の法定調書について

平成30年度(2018年度)の税制改正により、令和3年(2021年)1月1日以降に提出すべき法定調書のe-Tax又は光ディスク等による提出義務の判定基準が、「1,000枚以上」から「100枚以上」に引き下げられていますので、ご注意下さい。

対象例)
・「給与所得の源泉徴収票」
・「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」
・「不動産の使用料等の支払調書」 等

参考

電子申告義務化の適用スケジュール例と準備事項

電子申告義務化の適用開始スケジュール例

3月末決算法人(申告期限の延長なし)における法人税・消費税の電子申告義務化の適用スケジュ―ルは以下の通りです。       

電子申告義務化の適用スケジュール

(注)大法人が書面で申告した場合

e-Tax 義務化の対象となる法人が、e-Tax により法定申告期限までに申告書を提出せず、書面により提出した場合、その申告書は無効なものとして取り扱われることとなり、無申告加算税の対象となります。2期連続で法定申告期限内に申告がない場合は、青色申告の承認の取消対象となります。

ただし、災害その他の理由によって、e-Tax により法定申告期限までに申告書を提出することが困難な場合には、所轄税務署長の承認を得た上で、書面により申告書を提出することで、例外的に申告義務が履行されたものとみなされ、その書面による申告書は有効なものとして取り扱われます。

なお、所轄税務署長の承認を得るためには、事前に申請書を提出する必要があります。

e-Tax事前準備の概要
① 電子証明書の取得
e-Taxを利用するためには、インターネットを利用したデータのやりとりにおいて、本人確認の役割を果たす電子証明書の取得が必要です。
② 開始届出書の提出(送信)
e-Taxを利用するためには、開始届出書を納税地を所轄する税務署長に提出(送信)が必要です。
③ 利用者識別番号等の取得
開始届出書を提出(送信)した場合、利用者識別番号及び暗証番号を取得できます。e-Taxにログインする際、必要となります。
④ e-Taxソフトを利用可能な環境構築
参考
詳細は、以下のサイトをご参照下さい。
eLTAX事前準備の概要
① 利用届出の実施・利用者ID取得
PCdesk(WEB版)から利用届出を行い、利用者IDを取得します。
② 手続きに必要な準備
・パソコン環境の準備
・e-mailアドレスの準備
・電子証明書の準備
③ eLTAX対応ソフトを利用可能な環境構築
参考
詳細は、以下のサイトをご参照下さい。

電子申告の義務化とともに、e-Taxの利便性が向上

以下の利便性向上策は、電子申告の義務化となる大法人に限らず、全法人が対象です。

施策 項目 内容 適用時期
提出情報等のスリム化 勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化 記載件数が100 件を超える場合については、①又は②の記載方法によることも可能とします。
① 売掛金(未収入金)や買掛金(未払金・未払費用)
など、記載量が多くなる傾向にある勘定科目(14科目)を対象に、上位100件のみを記載する方法(記載省略基準の柔軟化)
② 受取手形の内訳書など、記載単位を(取引等の)相手先としている勘定科目(7科目)を対象に、支店・事業所別に記載する方法(記載単位の柔軟化)
※ ①②のほか、一部の記載項目(「貸付金及び受取利息の内訳書」の「貸付理由」欄など)を削除するなどの簡素化を行います。
平成31年4⽉以後終了事業年度の申告
イメージデータ(PDF形式式)で送信された添付書類の紙原本の保存不要化 送信するイメージデータについて、一定の解像度・階調の要件を付した上で、紙原本の保存を不要とします。  平成30年4⽉以後の申請等
⼟地収⽤証明書等の添付省略(保存義務への転換) 法人税確定申告書等に添付することとされている土地収用に関する証明書などの第三者作成書類について、添付することに代えて保存することにより制度の適用を認めることとします。 平成30年4⽉以後終了事業年度の申告
データ形式の柔軟化 法⼈税申告書別表(明細記載を要する部分) エクセル等で作成可能なCSV形式による提出を可能とします(国税庁から標準フォームを提供(財務諸表については勘定科目コードを公表))。
※適用時期以前、e-Tax で送信可能なデータ形式は一律XML 形式若しくはXBRL 形式としています。
令和1年5⽉以後の申告
財務諸表
勘定科⽬内訳明細書
提出⽅法の拡充 e-Taxの送信容量の拡⼤ 送信1回当たりの上限を、申告書は約2倍(約5,000 枚)、添付書類は約5倍(約100 枚)に拡大します。 平成31年1⽉以後の申告
添付書類の提出⽅法の拡充 e-Tax の送信容量を超えてしまうような場合に対応するため、光ディスク等による提出を可能とします。 令和2年4⽉以後の申告
提出先の⼀元化 財務諸表 外形標準課税対象法人等が、e-Taxにより財務諸表を提出した場合には、法人事業税の申告における財務諸表を提出したものとみなします。 令和2年4⽉以後の申告
連結法⼈に係る個別帰属額等の届出書 e-Taxにより提出した場合に、連結親法人による個別帰属額等の届出書の一括提出を可能とします。 令和2年4⽉以後終了事業年度の申告
連結納税の承認申請関係書類 連結親法人となる法人等が連結納税の承認の申請書等を提出した場合に、連結子法人となる法人等が提出することとされている、連結納税の承認の申請書を提出した旨の届出書等の提出を不要とします。 平成31年4⽉以後の加⼊・離脱等
認証⼿続の簡便化 認証手続の簡便化 ① 法人税及び地方法人税の申告書における経理責任者の自署押印欄を廃止します(これにより、e-Taxにより提出した場合、経理責任者の電子署名は不要となります。)。 平成30年4⽉以後終了事業年度の申告
② 法人が行う電子申告に付すべき代表者の電子署名に代えて、当該代表者の電子委任状を添付することにより、委任を受けた当該法人の役員・社員の電子署名によることも可能とします。 平成30年4⽉以後の申請等
その他 e-Tax受付時間の更なる拡大 e-Tax受付時間について、確定申告期間の土日も含む24時間受付及び5月、8月、11月の最終土日の受付(8:30~24:00)など順次拡大を図っているところ、 平成31年1月からのe-Tax受付時間については、メンテナンス期間除き、平日(月曜日~金曜日)は通年で24時間、毎月の最終土日(8:30~24:00)に拡大します。 平成31年1月以後の申告
法人番号の入力による法人名称等の自動反映 法人番号の入力により法人名及び本店所在地情報を明細書に自動反映する機能をe-Taxソフトに実装しました。 令和1年5月以後の申告
法人税及び地方法人二税の電子申告における共通入力事務の重複排除 法人税及び地方法人二税の電子申告における共通入力事務の重複排除に向けて取り組みます。 平成31年4⽉以後の加⼊・離脱等

eLTAXにより、複数の地方公共団体へ一括して電子納税が可能

地方税の申告、申請、納税などの手続きは、紙の申告書で手続きを行う場合、それぞれの地方公共団体に行く必要がありましたが、eLTAXでは、令和元年(2019年)10月1日より全ての地方公共団体へ一括して電子納税が可能となりました。

eLTAX(地方ポータルシステム)

出展: eLTAXサイト「eLTAXの概要」より

申告業務を「紙」から「電子申告」にするメリットとOPEN21シリーズの対応

「電子申告」のメリット

大法人の電子申告義務化とともにe-Tax・eLTAXの利便性が向上したことにより、申告業務を「紙」から「電子申告」に変更し易くなりました。
「電子申告」によるメリットは以下の通りです。

ペーパーレス
  • 大量(提出/控え用)の印刷作業が不要
  • ファイリング作業、保管スペースが不要
押印作業が不要
  • 大量の書類への押印作業が不要
  • 特に拠点が多い場合は、効果大
郵送作業が不要
  • 製本、封入、返信用封筒作成作業が不要
  • 特に拠点が多い場合は、効果大
「電子申告」のメリットを効率良く実現するためにOPEN21では、
各システムで計算・処理・集計したデータを
最大限、e-Tax・eLTAXまで連携!!

OPEN21シリーズの対応

OPEN21「基本会計」「債務管理」「固定/リース資産」「給与計算」システムで計算・処理・集計したデータを以下の通りe-Tax・eLTAXまで連携します。

OPEN21 電子申告義務化への対応
書類名 システム名 処理内容
決算書、株主資本等変動計算書 「基本会計」 「法人税」へ連携→「電子申告」からe-Tax・eLTAXへ連携します。
勘定科目内訳書 「基本会計」 「内訳概況書」へ連携→「電子申告」からe-Tax・eLTAXへ連携します。
法人税(別表一~十五、十七、十八等) 「法人税」へ入力→「電子申告」からe-Tax・eLTAXへ連携します。
法人税(別表十六) 「固定/リース資産」 「法人税」へ連携→「電子申告」からe-Tax・eLTAXへ連携します。
地方税 「法人税」へ入力→「電子申告」からe-Tax・eLTAXへ連携します。
消費税申告書 「基本会計」 「消費税」へ連携→「電子申告」からe-Tax・eLTAXへ連携します。
償却資産申告書 「固定/リース資産」 「電子申告」へ連携→e-Tax・eLTAXへ連携します。
給与所得・退職所得の源泉徴収票 「給与計算」 給与支払の結果を「年調・法定調書」へ連携→「電子申告」からe-Tax・eLTAXへ連携します。
支払調書(報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書) 「基本会計(支払調書)」 「債務管理」の支払結果から支払自動仕訳を「基本会計」へ作成、「年調・法定調書」へ連携→「電子申告」からe-Tax・eLTAXへ連携します。
支払調書(不動産の使用料等の支払調書) 「基本会計(支払調書)」 「年調・法定調書」へ連携→「電子申告」からe-Tax・eLTAXへ連携します。
支払調書(その他) 「年調・法定調書」へ入力→「電子申告」からe-Tax・eLTAXへ連携します。