Page : [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ]

セミナーNO.07

法人税基本通達の廃止・削除項目を総点検する

廃止・削除された項目(3)
役員の歩合給・能率給または超過勤務手当

改正前通達に「役員の歩合給若しくは能率給又は超過勤務手当」(9-2-15)というものがありました。
この項目は、法人がその役員に対して月俸、年俸などの固定給のほかに、歩合給、能率給または超過勤務手当(使用人兼務役員に対する超過勤務手当に限ります)が支給されている場合に、これらの支給が使用人に対する支給基準と同一のときは、これらの給与は定期の給与として損金算入ができるというものです。

<図表4> 役員の歩合給は損金不算入

(図表4) 役員の歩合給は損金不算入

この項目も、定期同額給与の要件に当てはまらないため、改正後通達で廃止され、役員の歩合給、能率給は、損金算入ができなくなりました(図表4)。

経過措置として、平成18年4月1日以後最初に開始する事業年度の翌事業年度開始三か月以内に行なわれる役員給与の改定までに支給された歩合給は、定期同額給与として取り扱うことができます。
なお、使用人兼務役員の使用人部分の職務に対する超過勤務手当、歩合給、能率給は従来同様、損金算入ができます。

損金算入ができなくなった能率給などに代わる役員給与として、利益連動給与が注目されることがあります。 しかし、損金算入可能な利益連動給与とは、同族会社に該当しない法人が業務執行役員に対して支給する給与で、有価証券報告書を基礎に客観的に算定されるものなどとされています。
したがって、多くの中小企業では、利益連動給与を採用することはむずかしいでしょう。

廃止・削除された項目(4)
未払計上や仮払経理した役員退職給与

役員退職給与に関する項目で、廃止されたものが二つあります。一つ目は、「具体的に確定する前に未払計上をした役員退職給与」(9-2-20)です。

役員の退職給与の額が具体的に確定する日の属する事業年度より前の事業年度において、取締役会等で内定した金額を損金経理により未払金に計上(未払計上)しても、この金額は損金の額に算入できません。しかしその後、その退職給与の額が確定した日の属する事業年度、またはその額を支給した日の属する事業年度において、確定・支給した額を損金の額に算入したときは、その額は損金経理をしたものとして、損金算入が認められるというものです。

もう一つは、「仮払経理した役員退職給与の損金不算入」(9-2-21)です。

この項目は、役員の退職給与の額が具体的に確定した日の属する事業年度以後の事業年度に退職給与が支給された場合、その支給額を、その支給した日の属する事業年度に仮払金等として経理処理したときは、その後の事業年度に仮払金等を退職金に振り替えても、その額は損金の額に算入されないというものです。

廃止された2つの項目は、役員退職給与について何らかの経理処理を行なった場合、退職給与の損金算入時期がいつになるかを規定したものです。
平成19年度税制改正前は、役員退職給与を損金に算入するには、
  ・損金経理すること
  ・不相当に高額でないこと
の2つの条件を満たさなければなりませんでした。しかし、改正により法人税法旧36条が削除され、役員退職給与の損金算入に、損金経理をすることが必須要件ではなくなりました。そのため、未払計上あるいは仮払経理といった経理処理も、役員退職給与の損金算入時期とは無関係なものとなりました。そこで、これらの項目が廃止されたと考えられます。

<図表5> 役員退職給与の損金算入時期

(図表5) 役員退職給与の損金算入時期

なお、役員退職給与の損金経理が損金算入の要件ではなくなったとはいえ、損金経理が損金算入の時期として認められなくなったわけではありません。
役員に対する退職給与の損金算入の時期の選択適用の幅を許容した項目が、改正後通達の9-2-28「役員に対する退職給与の損金算入の時期」に残っています。

これによると、退職した役員に支払われた退職給与の損金算入時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。ただし、その退職給与が実際に支払われた日の属する事業年度にその支払われた額を損金経理した場合は、その事業年度に損金に算入することも認められています(図表5)。


前のページ 次のページ