Page : [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ]

セミナーNO.02

知っておきたい
連結決算書のしくみと読み方、役立て方

日本で連結決算制度が始まったのは昭和52年と、意外と古いのですが、長い間個別決算書が主体でした。最近、「従」から「主」になりつつある連結決算書について、中小企業でも知っておきたい関連知識をまとめました。

高野総合会計事務所 公認会計士・税理士
小宮孝之

証券取引法ベースのディスクロージャーでは、すでに連結と個別の主従関係が逆転し、中間決算でも連結決算書の作成が求められます。また、平成15年3月期から連結納税も始まりました。子会社の範囲や計算方法など、会計制度の連結とはまったく異なるものですが、連結重視の傾向は税制にまで波及しています。

さらに平成17年3月期からは、商法でも連結開示が取り入れられます(当面は公開会社等のみ)。

連結主体の流れは、今後の中小会社の決算制度の見直しにも少なからず影響すると思われます。こうした点も踏まえて、連結決算書のしくみと基本的な概要を解説していきます。

なぜいま連結決算が求められているのか

連結重視の傾向が強まってきた理由としては、次のようなものが考えられます。

(1) 国際的な調和(必要性)

欧米を中心とした先進諸国の会計制度は以前から連結重視です。当然、グローバルな活動をする日本企業では、欧米企業の連結決算書ベースの数値と比較できる決算書の開示が必須となります。

(2) グループ会社間取引の多様化等

グループ会社の役割分担が多様化・複雑化すると、親会社単体の数値では事業の一部分しかわかりません。本来の事業体の実態を把握するには、必然的に連結ベースでの数値開示が求められます。

(3) グループ会社を通じた粉飾決算

連結決算では、たとえば子会社への押し込み販売等により親会社が単体上の利益を捻出しても、その取引は相殺消去されて利益はなかったものとされます。

連結決算の数値は、こうしたグループ間の取引による損益の影響を排除できるため、投資家はより有用な情報が得られます。

(4) 連結決算制度の厳格化の要請

2001年末に発生したエンロンという巨大企業の破綻は、連結対象外の会社を通じた不正取引(損失飛ばし)が原因でした。エンロン本体は破綻直前まで健全企業を装い、実態数値は公表されなかったのです。

本来連結対象とすべき会社が、当時の会計制度では連結対象外だったという会計制度の不備に乗じて、連結対象外の会社を多数用意し、損失の表面化を遅らせることに成功したのです。

この事件は、より厳格な連結決算制度の確立と運用の必要性を強く印象づけました。

次のページ